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(2003年10月28日付)
事実確認を怠ったため風評被害につながった報道への、司法による厳しい判断が下った――。テレビ朝日の所沢ダイオキシン報道をめぐる裁判での、最高裁判決のことである。
テレ朝の看板番組「ニュースステーション」は、埼玉県所沢市の葉物野菜から高濃度ダイオキシンが検出されたと報道。だが後に、高濃度汚染の検体は「せん茶」であることが判明した。野菜の価格が暴落したとして、農家側はテレ朝を提訴。最高裁は今月16日、テレ朝側の実質敗訴となる判決を下した。
判決文は、“放送を見た視聴者は通常、葉物野菜にせん茶が含まれるとは考えない”と指摘。テレ朝によるダイオキシン報道の公益性や意義は認めつつも、報道の重要部分に真実の証明がないとした。その上で“報道番組は、一般視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とし、放送全体の印象で判断すべき”との見解を示した。
本判決について、城西国際大学講師の野原仁氏(ジャーナリズム論)は、「報道内容の杜撰さからすれば当然の結果」と論評。「印象」基準の設定に関しても、(1)多くの視聴者がある「印象」を持つと信じる合理的な説明(2)社会的評価が低下する原因として、その「印象」が認められる客観的事実――との条件を前提として、積極的な評価を加えている。
また、判決は「個人の名誉」に慎重な配慮を求めている。これまで「報道の自由」を言い訳とし、一般の人々の名誉を平気で傷つけてきた報道姿勢に反省を促す機会ととらえたい。
メディアのセンセーショナリズム・人権軽視の風潮は、依然としてやまない。本判決を契機として、報道機関は今こそ、視聴率市場主義をあらためるとともに、ジャーナリズム本来の精神に立ち戻らなければなるまい。(光沢昭義記者)