【Seikyo Media Page】Copyright (C) 1997-2003 by The Seikyo Shimbun.



連載「ニュースの眼」
ニュースの眼

人権と報道・連絡会がシンポジウム

公正な裁判と報道のあり方

(2003年9月30日付)

 刑事事件の審理に市民が参加する裁判員制度――司法制度改革審議会は次期通常国会での法案提出を目指している。マスコミ報道も目立つようになり、いよいよ議論が本格化してきた。

 マスコミ報道について考える市民団体「人権と報道・連絡会」は26日、「公正な裁判とメディア報道」と題するシンポジウムを都内で開催。偏向・犯人視報道が裁判員に及ぼす影響や制度それ自体が抱える問題点について、活発な討議が交わされた。

 弁護士の西村健氏は、同制度の導入にあたって、報道規制の動きがはらまれる点を指摘。(1)偏向報道禁止の規定(2)裁判員等の秘密漏洩罪(3)マスコミによる裁判員等への接触の禁止――に関して、「(禁止規定を)設けるべきではない」との否定的な見解を示した。

 新聞労連委員長の明珍美紀氏は、「裁判員の予断を招く報道を戒めるのは当然だが、メディアには裁判が公正かどうかチェックする使命がある」「偏見報道の基準もあいまいなだけに、報道規制には納得できない」と主張。その一方で「大切なのは、(メディア)業界全体にまたがるような取材ルールを自主的につくること」との考えを述べた。

 また、松本サリン事件報道の被害者である河野義行氏が「一市民が本当に公正なジャッジをできるのか、不安が拭えない」と指摘。司会を務めた浅野健一・同志社大教授(メディア論)は、「やはり報道評議会をつくることが必要」と強調した。

 一連の議論を受けて、英国・報道苦情委員会のR・ピンカー氏は「一つが変われば、どんどん変わる」と、改革の姿勢に一定の評価を下す。裁判員制度の導入に向け、克服すべき課題は多いものの、「市民のための司法」を目指す大いなる一歩となるよう期待したい。(光沢昭義記者)