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(2003年7月8日付)
ドイツの高級ニュース週刊誌『シュピーゲル』の東京支局長、ヴィーラント・ワーグナー氏が1日、「ドイツにとっての日本、日本にとってのドイツ」と題し、都内で講演(東京財団主催)を行った。
第2次世界大戦の敗戦から奇跡的な復興を遂げた日本とドイツ。しかし、イラク攻撃への対応に顕著なように、現在、両国の外交姿勢には大きな違いが見られる。ワーグナー氏は、その要因の一つに「歴史や過去への取り組み」を挙げる。
戦争責任を反省・謝罪することにより、近隣諸国との和解と東西統一を成し遂げたドイツに比べ、いまだ過去をめぐる近隣諸国との溝が深い日本――。ワーグナー氏は、さらに「戦後、経済成長を宗教のようにあがめてきた日本は、その空白を埋めるために『愛国心』を強制する教育改革を主張する動きがある」と警告している。
また、ワーグナー氏は「グローバル化時代において、日独とも地域協力という枠組みでしか国の将来はない」と力説。
欧州連合(EU)の枠組みの中で、米国への依存度を減らしつつ共存を図るドイツと同様、「日本もアジア外交を優先し、近隣諸国との友好を深めていくべきである。そのためにも日本人自身が、どういう国を築きたいかという議論を進めることが大事だ」と指摘している。
知日派で、似通った歴史的背景を持つドイツ人ジャーナリストの直言は、日本を映す格好の「シュピーゲル(鏡)」だ。反権力の報道で当局に逮捕・弾圧された『シュピーゲル』誌の創刊者、ルドルフ・アウグシュタイン氏の精神脈打つ伝統の故か。現代社会への関心とともに、歴史を踏まえ将来像をも映し出そうとするジャーナリズムの役割を、強く意識した姿勢が刺激的だった。(落合克志記者)