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連載「ニュースの眼」
ニュースの眼

写真撮影・掲載めぐりシンポジウム

問われる「真実を伝える覚悟」

(2003年4月8日付)

 写真撮影と人権侵害が社会問題化する中、「写真撮影・掲載・表現はどこまで許されるのか」をテーマにしたシンポジウム(日本写真家協会・朝日新聞社主催)が先月26日、都内で開催された。

 パネル・ディスカッションでは、2001年に大阪教育大付属池田小学校で起きた児童殺傷事件の際、被害に遭った児童や泣き崩れる遺族にカメラを向けた報道写真の是非などについて活発に意見を交換。

 パネリストの高橋シズヱさん(地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人)は、池田小事件の際、刺された生徒を救護していた教諭が、報道機関のヘリコプターの音を耳にして、「救急ヘリだ! この子は助かるかもしれない」と、一瞬安堵したという話を紹介。「取材していた人たちは、ヘリの下で被害者や関係者がどういう気持ちでいたか、考えたことがあるでしょうか」と問い掛けた。

 一方で、地下鉄サリン事件の時には、亡くなった高橋さんの夫をテレビ局の車が病院に運んでくれたというエピソードを披れき。さらに「被害者としては事件当時の映像は見たくない。でも、あの映像や写真がなければ、事件がいかに大変なものだったか、世間には伝わらなかった」と映像の必要性も指摘した。

 確かに写真や映像には百万言に勝る力がある。だが、特に報道の現場においては「人権侵害のリスク」も付きまとう。「伝えるべき事実」とのバランスを考慮し、あくまでも慎重に判断すべきだ。日本写真家協会会長の田沼武能氏は、「『自分はこのことを伝えるために命を懸けている』というぐらいの考えがなければ撮るのをやめた方がいい」と、安易な写真撮影・掲載を厳しく戒めた。

 報道に携わる者は、カメラを構えるたびに自らの人権感覚はもちろん、真実を伝える「覚悟」と「使命」を常に問い続けることが必要である。(落合克志記者)