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連載「ニュースの眼」
ニュースの眼

「記者への証言要請」新聞協会が見解

権力によるマスコミ介入の危険と

(2003年3月25日付)

 福岡県の地方議会が、自治体の不正をスクープした新聞記者に対し、特別調査委員会への出頭を要請したのは、今年1月のこと。記者は出席したものの、「取材源の秘匿」を理由として、証言を拒否した。また、昨年3月には、和歌山市の毒物カレー事件裁判で、テレビ番組のビデオテープが証拠採用された。

 ここ一年、地方議会や裁判所がマスコミに“協力”を要請したり、時に“圧力”をかけるような事例が相次いでいる。

 日本新聞協会の編集委員会は19日、地方議会による記者への証言要請や裁判所からの証拠テープ申請・採用に対し、「取材を制約し、国民の知る権利を侵す恐れがある」とする見解を発表した。

 記者への証言要請に対する見解では、“取材源の秘匿は報道機関が何より優先すべき責務であり、取材活動の根幹をなす究極の職業倫理”と強調。その上で「報道の自由、知る権利を侵しかねない不当なもの」と断じた。ビデオテープ問題に関する見解では、「報道機関と取材対象者との信頼関係を損なう恐れが出てくる」として、安易な証拠申請・採用を行わないよう求めている。

 「報道について語る福岡の会」代表の内田博文・九州大学教授(刑法学)は、「(二つの事案について)ともに憲法21条に抵触する可能性がある。また、記者の刑事免責は刑法35条(『正当行為』)によって明確であり、議会側は出頭要請を不当に行使すべきではない」と指摘する。

 同教授はまた「社会全体の風潮として、公的機関の側が治安維持について“マスコミの協力”を求めがちだが、権力によるメディア介入を招く危険性が高い」と警鐘を鳴らす。

 ことは、ジャーナリズムの原則を揺るがしかねない問題である。それだけに、議会や裁判には厳格かつ冷静な制度運営が期待されよう。(光沢昭義記者)