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連載「ニュースの眼」
ニュースの眼

パブリック・アクセスの可能性

脱・商業主義、市民が情報を発信

(2002年12月24日付)

 商業主義に奔走し、人権までも平然と踏みにじる――。そうした市民の目線を忘れがちなメディアに対抗する手だてとして、市民が直接的にメディアに参画するパブリック・アクセスが今、注目を集めている。

 日本マスコミ学会理論部会は7日、「市民とメディア」に関する研究会を同志社大学内で開催。聴覚障害者用スクリーンを設置するという新手法も採り入れつつ、パブリック・アクセスを主題にすえた活発な議論が交わされた。

 ゲスト・スピーカーとして参加したケーブル局・中海テレビ放送(鳥取県米子市)の高橋孝之代表は、市民の手による情報発信の現場を紹介した。既存のメディアが扱わない地域に有益な話題を提供しようと、同放送は平成元年から、住民に番組作製の機会を与えている。

 とりわけ、島根県と鳥取県にまたがる湖・中海の浄化運動は、興味深い内容だった。「汚染された湖を、泳げるまでに回復させたい」との思いから、市民約200人が特集番組を制作。番組への反響はことのほか大きく、新聞社をはじめ、行政や地元企業までも動かすに至り、地域社会に激しいうねりを呼び起こしたという。

 同じく列席した津田正夫・立命館大教授は「(日本各地で)市民がNPO(民間非営利団体)をつくり、放送とかかわろうとする動きが出ている」「(その一方で)営利目的でなければ、当局は放送免許を与えない」と、市民のメディア参加を阻害する社会的要因についても言及した。

 市民の自由な発想が、そのまま社会変革に直結するパブリック・アクセス。その運用が、健全な民主主義社会の育成に向けて、いかに寄与し得るか――この難題に挑む上で、研究会の議論は、極めて示唆的な視座を提供している。(光沢昭義記者)