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連載「ニュースの眼」
ニュースの眼

消防長会「氏名の公表と人権」を検討へ

「報道規制」とメディア団体が反対表明

(2002年12月10日付)

 災害時における被災者の氏名公表の基準などを検討するため、全国消防長会が設置を予定している「氏名の公表と人権に関する検討委員会」について、日本新聞協会編集委員会と日本民間放送連盟報道委員会は5日、設置に反対する意見書を提出した。

 意見書では「報道機関がプライバシー、人権に配慮した報道を行うことは当然」とした上で、「これらは報道各社が自らの判断と責任において行うもの」と強調。「公的機関が『表現の自由』『国民の知る権利』を縛る公表の基準を作ろうとする事自体が誤り」と批判している。

 これに対し、検討委事務局は「氏名の公表について、基準の有無も含めて意見を聞きたいという趣旨で、報道規制の意図はない」と説明する。だが、意図しなくとも基準作成を視野に入れている事自体、規制の危険をはらんでいるのだ。

 本紙では、事件事故の被害者を「原則匿名」で報じている。だが、公的機関はあくまでも情報を全面開示し、メディアが人権に配慮して報道するという基本は崩してはならない。公的機関が自らの都合で公表の可否を決めるようなことになれば、国家による情報操作や不正の隠ぺいを容易にし、民主主義の基盤を揺るがすことになるからだ。

 一方、昨年の「歌舞伎町雑居ビル火災」に顕著なように、確たる理念もなく実名報道を続け、人権侵害を繰り返すメディアの側にも問題はある。メディア不信を背景に、近年、「本人や家族の要望」という理由で、警察が被害者の情報を公表しない例も目立つ。

 匿名報道の拡充を含め、メディアが真に市民の側に立ったプライバシー保護策を強化しなければ、権力による規制の口実を与えることになるだろう。(落合克志記者)