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メディア月評

連載コラム
「メディア月評」
創価大学教授・森 幸雄

【4】


米大統領選挙と世論調査

ブッシュに高い数値と民主党反発

(2004年10月26日付)

 選挙結果の予測の正誤は調査の確かさの尺度になるとみなされている。1週間後に迫ったアメリカ大統領選挙はその最たるものであろう。報道機関や調査専門機関にとって、いわば4年に1度の「実力試験」のようなものである。

 大統領選挙は長期間にわたる大イベントである。そのなかで、世論の動向を知ろうとして、さまざまな試みがなされてきた。世論調査もそうした試みのひとつであり、選挙結果を予測する重要な道具となっている。

 選挙結果の予測の正誤が、世論調査の方法を大きく変えたといわれる大統領選挙がある。民主党ルーズベルト候補が共和党ランドン候補に圧勝した1936年の選挙である。

 『ザ・リテラシー・ダイジェスト』紙は、選挙予測の的中率の高さで知られていた。300万人の回答をもとにした調査結果から、共和党ランドンを勝者としてしまった。調査におけるルーズベルトの得票率が実際の得票率より20%近く少なかったからであった。

 同じ選挙で、ギャラップ社などの調査機関は、クォータ・サンプリングと呼ばれる方法で抽出した1000人単位の対象者を慎重に調査して、ルーズベルトの圧勝を予測した。まもなく、『ザ・リテラシー・ダイジェスト』紙は廃刊となった。

 前回の大統領選挙が大接戦であったため、今回の選挙では、世論調査の結果への関心がこれまで以上に高い。

 今回の大統領選挙で、CNNとUSAトゥデー社は、ギャラップ社とともに何度も世論調査を行っている。その調査結果が、他の機関の調査に比べて、共和党ブッシュ候補の支持率が高くなっていることが注目された。

 9月17日に発表された結果では、投票に行くと答えた有権者での支持率は、共和党ブッシュ候補が民主党ケリー候補よりも13%高くなっている。他の機関の調査では両候補の支持率は接近していたため、日本でも意外な数字として報道された。

 投票日が近づくにつれて、CNNとUSAトゥデー社、ギャラップ社の調査結果でも、両候補の支持率は接近してきたものの、ブッシュ候補の支持率が高めで推移している。

 こうした結果に対して、ギャラップ社の調査には偏りがあるという民主党系団体の意見広告が9月28日付ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された。

 また、世論調査会社のジョン・ゾグビー氏は、9月7日付のフィナンシャル・タイムズ紙のコラムで、今回の大統領選挙の世論調査ではギャラップ社の調査対象者は他の調査に比べて共和党支持者の割合が高く、大統領候補の支持率が共和党に有利になっているとしている。

 ギャラップ社では、調査対象の共和党支持者の割合は、アメリカの有権者全体の傾向を反映して決めると説明している。

 腕のいい料理人は鍋いっぱいのスープの味を、スプーン一杯の味見で決める。接戦が予想される今回の選挙では、調査機関にもそんな微妙な味見の名人芸が求められているようだ。

 (創価大学教授)

 (創価大学教授)