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ロンドンの街角から

連載コラム
「ロンドンの街角から」

【19】


街からガソリンが消えた−−物価高騰への抗議行動

(2000年9月19日付)


 先週、約一週間にわたって、英国中のほとんどのガソリンスタンドが閉店した。ガ ソリンの高騰に対するデモ行動が起き、製油所から各スタンドへの配送が、抗議者に よって封鎖されたからだ。同様の抗議行動は、欧州各地で起こっている。

 ガソリンの価格高騰は、OPEC(石油輸出国機構)の原油価格の急騰が影響して いる。しかし、英国の場合、抗議者の訴えは価格そのものよりも、世界一高いガソリ ン税の税率を下げることにあった。付加価値税と合わせ、ガソリン価格の七割以上が 税金である(米国が二割強)。直接行動によって、政府の譲歩を引き出そうというの がねらいだった。

 この訴えに対し、ブレア首相は「耳は傾ける。しかし、暴力、封鎖、脅しには屈し ない」と表明し、真っ向から対決する姿勢を取ってきた。ただ、国民は抗議者に同情 的で、ある民放テレビ番組のアンケートで、政府の対処の仕方を支持したのは六%に 過ぎなかった。

 運送ができずスーパーから食料が減ったり、スクールバスが運行できず学校が閉鎖 になったりした。郵便局の集配が難しくなったり、救急医療体制に支障が出てきたり もした。国全体が機能不全に陥り始めたところで、メディアや国民から封鎖手段への 批判が高まり、抗議は終えんに向かった。

 果たして直接行動の成果はあったのか。他国では政府が妥協して、税率引き下げな どを約束しているが、英国では今のところ政策に変化はない。もしこれから成果が得 られるとしても、首相をはじめ多くの人が強調しているように、話し合いによっての み獲得されるべきであろう。

(有田晴也・英国ウォーリック大学博士課程在籍)