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ロンドンの街角から

連載コラム
「ロンドンの街角から」

【14】


EUの政治統合化と英国の主権へのこだわり

(2000年7月18日付)


 通貨統合へと発展し、加盟国も拡大している欧州連合(EU)だが、この先、一体 どこへ向かっていくのだろうか。「国家主権」に強いこだわりを持つ英国にとって、 この問題は大きな関心事だ。

 EUでは、共通の外交・安保政策の枠組みがすでに模索されはじめている。最終的 に欧州連邦という超国家的存在になるべきかどうか、またどうなるべきかについて、 EUの中ではっきりとしたビジョンがあるわけではないが、近い将来、政治統合があ る程度進むのは間違いないだろう。

 この点で、欧州統合のけん引力である独仏の動きが注目されている。先月末、フラ ンスのシラク大統領がドイツ議会で演説し、他国の動きを待たずに、独仏の二国間だ けでより政治的な統合を推進していく「先行統合」について言及した。

 これに対し、数日後ドイツを訪れたブレア首相は、二カ国の先走りに懸念を表明。 英国メディアも全体的に支持していない。例えば『ガーディアン』紙は、この考えは 「他のEU加盟国の気持ちを無視している」と書いている。

 英国の政治指導者たちには、EUの中で影響力を保持したいという意思と、政治統 合への加速化には反対したいという考えがある。また、置いてきぼりにされたくない という願いと、ブリュッセル(EU本部)からこれ以上支配されたくないという思い がある。

 英国は頑迷かもしれないが、このジレンマは、主権の共有というEUの実験が、い かに困難な作業であるかを示してはいないだろうか。この国がEU問題にどう対処す るかは、主権国家というものの将来を考える上でとても興味深い。(有田晴也・英国ウォーリック大学博士課程在籍)