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(2000年7月4日付)
英国の政治にとって、欧州単一通貨ユーロの導入問題は常に論争の的だ。現政府は 導入に賛成だが、経済面で五つの条件を満たさない限り、導入に踏み切らないことに している。そして、その条件を満たしているかどうかは、次の総選挙が終わるまでは 判断しないのだそうだ。
理由のひとつは、国民の大多数がユーロに反対し続けているからだろう。『タイム ズ』紙に載った最新の世論調査では、七一%が導入に反対。企業のトップまた労組関 係者の間でも、反対の方が強い。「キープ・ザ・ポンド」キャンペーンを繰り広げて いる野党の保守党は、確実に支持率を上げている。ゆえに政府は、この問題が選挙の 争点にならないようにしたいのだ。
一方で、BMWのローバー売却に代表されるように、ユーロに対して強いポンドの 存在は、英国に工場を持つ大企業にとって足かせとなっている。最近では、日産が英 国での生産を制限する可能性をほのめかした。このような状況下、より積極的に導入 を推進したい閣僚たちは、政府が現段階ではっきりと賛成する必要性を主張してい て、外相を中心とする促進派と蔵相を中心とする慎重派との確執が取り沙汰されてい る。
『エコノミスト』誌は、経済的な条件からは賛成、反対どちらの立場も理論化で き、結局は政治の問題であると結論づけている。世論を背景に、保守党がこの問題を 次の総選挙の争点にするのは間違いない。労働党も否応なしに受けて立つことになる だろう。しかし、一年以内と予想されている総選挙までに、政府・与党が国民を納得 させるのはたいへん難しそうな情勢だ。(有田晴也・英国ウォーリック大学博士課程在籍)