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ロンドンの街角から

連載コラム
「ロンドンの街角から」

【7】


ブレア首相の“育児休暇”騒動

(2000年4月18日付)


 ブレア首相夫人の妊娠が報道されたのは昨年十一月。それ以降、首相が育児休暇を 取るべきか否かという問題が、メディアで論争され続けている。先日、日曜紙『オブ ザーバー』紙上で初めて明言した首相自身の答えは、完全な育児休暇は取らないが仕 事量は減らす、というものだった。

 英国では昨年、子供が五歳になるまで、父親と母親に等しく、十三週間ずつの無給 育児休暇を与える法律ができた。それでも、国や企業の制度の面も、国民の意識の面 も、他の先進的な欧州の国々と比べたら、成熟度はまだ低い。政府のある調査による と、無給であることもあって、約二%の男性しか、この権利を行使しないだろうと予 測している。ゆえに、法律の促進を推進している団体などは、首相が範を示すこと で、男性の育児休暇に対する意識の向上がはかられると主張してきた。

 メディア上で紹介された意見の中には、これに賛同するものが多かった。しかし一 方では、国を預かる指導者にとって、育児休暇などもってのほかだ、という反対意見 も少なからずあった。首相の選択は、両者の妥協点と言えるかもしれない。

 首相がどう判断するかは、ブレア家の単なる個人的な問題としてではなく、政治性 を帯びた問題として扱われてきた。首相が前向きな姿勢を取れば、男性の意識の向上 だけでなく、家族という価値また雇用環境の改善などに、政府が関与していることを 示唆することができるからだ。

 この問題を通して、あらためて感じることは、為政者の仕事のひとつに、ロール・ モデル(役割モデル、手本)としての立場があるということである。(有田晴也・英国ウォーリック大学博士課程在籍)