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ロンドンの街角から

連載コラム
「ロンドンの街角から」

【5】


メージャー前首相の政界引退と若き人材群

(2000年3月21日付)


 「幕は下りた。舞台から去る時だ」。一九九七年五月の総選挙敗北の後、メージャ ー前首相はこう語り、首相と党首の地位を辞任した。そして先日、ついに次期総選挙 への不出馬をも宣言。政界引退を表明した。メージャー首相の誕生は「革命」とまで 呼ばれ脚光を浴びたが、今、五十六歳という若さで、静かに政治の舞台から去ろうと している。

 昨年、BBCで「メージャーの時代」という連続ドキュメンタリーが放映された。 それを見る限り、メージャー氏は首相在任中、与党議員の相次ぐスキャンダルや党内 闘争に悩まされ続けたと言っていい。それでも、六年半にわたり政権を維持し、経済 も上向きにさせることができたのは立派であると思う。

 メージャー氏の後、政界指導者たちはどんどん若くなっていった。現在、ブレア首 相が四十六歳、保守党のヘイグ党首が三十八歳、そして自民党のケネディ党首が四十 歳である。その他、閣僚や野党有力者などにも四十代が多い。

 若い指導者を選ぶのが、常に最高の選択なわけではないだろう。しかし、国を預け られるだけの若い人材群がいるという事実に、この国の政治大国としての底力を感じ る。

 その背景のひとつに、この国の立候補者選びのシステムがあると思う。基本的に各 党とも、新人の候補者は公募をし、面接などを経て選定される。

 能力があれば、ジバン(支持基盤)、カバン(資金)、カンバン(知名度)はなく ても、十分に政界入りする可能性があるのだ。

 サーカス芸人の息子として生まれ、辛酸を嘗(な)め尽くしたメージャー氏の半生 は、その最も刺激的な例である。(有田晴也・英国ウォーリック大学博士課程在籍)