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タイトル画:検証:構造改革報道

検証:構造改革報道 高橋文利

【7】


正念場迎えた特殊法人改革
官庁、族議員の横やりに監視を

(2002年1月8日付)


 新年を迎えて特殊法人改革が実際に、どこまで進むかが最大の焦点になってきた。小泉構造改革がいよいよ実行段階に入って各省庁や族議員との攻防が本格化し、正念場を迎えたからである。

 ▼実行へ不可欠なメディアの支援

 特殊法人改革は「聖域なき構造改革」を掲げる小泉内閣の最大の目玉であり、12月に政府が決定した整理合理化計画では163の特殊法人・認可法人のうち17が廃止、45が民営化、38が独立行政法人に改組されることになった。

 その具体化に向かって本格的なせめぎ合いが始まるわけだが、これまで再三強調してきたように、メディアの支援が続かぬ限り、小泉構造改革の実現は難しい。ところが、そうした認識をメディア自身が持っているかどうか、はなはだ疑わしいと言わざるを得ない状況になっている。

 政府が特殊法人の整理合理化計画を決定した翌12月19日付各紙の社説を点検してみよう。「特殊法人改革はこれからが本番だ」(日経)、「竜頭蛇尾に終わらすな」(朝日)、「せかずば事をし損じる」(共同)はいいとして、「『聖域なき改革』とはこの程度か」(読売)となると、叱咤激励を通り越して、小泉構造改革を嘲笑しているかのような論調である。

 読売社説は「あまりに薄味であり、不十分と言わざるを得ない」と指摘している。確かに、先行して民営化の方針が決まった日本道路公団など道路関係の4法人は具体的な検討が第三者機関にゆだねられたし、政府系金融機関8法人の統廃合は経済財政諮問会議で論議されるなど先送りされてしまった。廃止される17法人の多くは他の法人に統合されたり、独立行政法人化して事実上、存続するものがほとんどだから、看板の掛け替えにすぎないとも言える。

 ▼法案化の過程で骨抜き許すな

 だが、こうした手法は過去の特殊法人改革の際にも見られた、いわば常套手段だった。だからこそ、そうならないようにメディアの監視が必要なのだし、今度こそメディアに期待された役割にこたえなければならない責任と義務があるはずだ。

 それを棚上げして「それみたことか。ろくな答案が書けなかったではないか」と居丈高に詰め寄る姿勢はいかがなものか。読売はこの前後に「濁流逆流小泉行革」という続きものを1面に載せている。ここでも「言葉先行目立つ妥協」「財投削減空振りの恐れ」といった具合に、徹底した批判を展開している。

 日経は12月19日付雑報で「『金融』消えた大統合案」という大型解説記事を2面に載せている。政府系金融機関の統廃合案が頓挫したのは、自民党行革本部最高顧問の橋本龍太郎元首相ら「抵抗勢力」が積極的に反対行動を展開した背景があることを詳しく報じている。

 毎日社説は1日遅れとなったが、読売と同じように改革が不十分であることを指摘しながらも、見出しは「新たな決意で熱いうちに」とし、改廃の対象である各法人の政策論まで踏み込んだ理論武装を急げと首相に提言している。日経、毎日のこれらの記事と読み比べれば、読売の報道姿勢の偏りが一段と明らかになる。

 改革を実施するには、新設する法人の形態や事業を細かく規定する法案を国会に提出して成立させなければならない。法案化の過程で所管官庁が骨抜きにしたり、族議員の反対で成立しなかったりすることも予想される。

 繰り返して言うが、構造改革の達成にはメディアの支援が絶対的に必要である。その自覚を改めてメディアに促したい。

(立命館大学教授)