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タイトル画:検証:構造改革報道

検証:構造改革報道 高橋文利

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特殊法人改革−−重点7法人廃止・民営化へ
必要なメディアの支援

(2001年12月11日付)


 小泉構造改革の目玉である特殊法人改革は、重点7法人を廃止・民営化することで政府・与党の合意が成立し、大きなヤマ場を一つ越えた。

 ▼目に見える改革像に拍手

 これを踏まえた11月23日付各紙の社説は「ようやく突破口が開けた」(朝日)、「この勢い止めてはならぬ」(毎日)、「特殊法人改革の突破口が開いた」(日経)として、改革方針を貫いた首相の姿勢を一様に評価している。

 これまで「小泉改革は掛け声ばかりで具体的なものは何もないではないか」という批判も強かっただけに、目に見える形で改革像が浮かび上がったことに拍手を送ったものといえる。

 しかし、日本道路公団など道路4公団の民営化に絡んで焦点となっていた高速道路整備計画は、第3者機関を設けて「見直す」ことになっており、抵抗勢力との攻防は一時休戦にすぎない。

 そのせいか、1日遅れで社説を載せた読売は「廃止・民営化 これからが本番だ」として「今回の合意は、7法人の改革の方向を定めただけだ。具体案づくりはこれからが本番である。族議員などの抵抗で改革が骨抜きにされないよう、首相は断固たる姿勢で臨まなければならない」と釘をさしている。

 「小泉人気はワイドショー人気だ」という冷めた見方もあるだけに、メディアが冷静に実態を報道することが何よりも重要であることは、改めていうまでもない。しかし、予断をもって糾弾するごとき姿勢は避けなければなるまい。

 読売は12月4日付朝刊から1面で「防げ小泉デフレ」という続き物を載せた。バブル崩壊とグローバル市場化の大競争にあえぐ日本経済に、米同時テロによる世界不況という第3の圧力が加わったという認識は受け入れられるとしても「小泉内閣の認識は極めて甘い。それが政策不況につながっている」と決めつけるのは、責任あるメディアとしていかがなものか。

 ▼ジャーナリズムの使命にこたえよ

 この続き物の2回目の見出し「空疎な『30兆円枠』固執」は、小泉改革の主柱である「国債発行枠30兆円以内」にとらわれず、積極的な2次補正で景気対策を優先すべきだというキャンペーンだが、あまりに情緒的である。

 日経も同様に「30兆円枠」にとらわれるなと主張しているが、多角的な紙面展開で冷静さを失ってはいない。「官業を斬る――揺らぐ廃止・民営化」「迷走小泉改革――苦悩する経済閣僚」などの続き物を矢継ぎ早に組んで、読者に実態を理解してもらおうとする姿勢は好感が持てる。

 とくに11月24日付朝刊で、主な特殊法人について、所管省庁が行政改革推進事務局に提出した文書を情報公開法に基づいて入手し、掲載した記事は、改革を避けようと抗弁する各省庁の抵抗ぶりと同時に、目に余るほどの天下りや高額な報酬が具体的に示されていて「いまさらながら」の感を強くした。

 党内基盤の弱い小泉首相にとって、構造改革をやり遂げるにはメディアの応援が絶対的に必要である。ところが、メディアの側には、そうした認識がいまいち欠けていて「構造改革よりは景気対策優先」など改革抵抗勢力と同じ主張をしているところがあるのは、残念である。

 自民党の族議員たちが、関係省庁や地方自治体、業界団体を総動員して政府の動きを批判し、改革の骨抜きや先送りを図っているのをみて、朝日の社説は「百年河清は待てない」(11月19日)、「小泉首相を励ます」(20日)と連日エールを送り、冒頭の「突破口が開けた」につなげた。ジャーナリズムの使命にこたえたといえるだろう。

(立命館大学教授)