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タイトル画:検証:構造改革報道

検証:構造改革報道 高橋文利

【3】


いかにして公共事業費を減らすか
官製談合防止法の制定こそ急務だ

(2001年9月11日付)


 ▼行政コストを3割削減できる

 わが国はこれまで公共事業中心の「国づくり」が行われてきた。これに伴う談合は英字紙などでも「dango」がそのまま通用するほど知られており、海外から「土建国家」とさげすまれる要因にもなっている。だからこそ公共事業費の削減が構造改革の最大の目玉にもなっているのだ。

 ところが、国や地方自治体など発注者側の「官」が落札業者を割り振る官製談合がまかり通っている。これがなくなれば、公共事業費が3割削減されても従来規模の仕事ができるというのだから、官製談合の防止こそ、当面取り組まねばならぬ急務であるはずだ。

 談合は本来、受注者側のカルテルだから独占禁止法上、違法とされる。しかし、発注する側の国や自治体が予定価格を事前に漏らしたり、工事ごとにあらかじめ受注側と調整して本命業者を決めておくといった手口が日本列島の各地で半ば公然と行われてきた。

 独禁法では、発注側は談合の「被害者」という理屈であるうえ、公正で自由な競争を阻害する行為を官公庁が組織ぐるみで実施することなど独禁法はもとより想定していないから、発注者側を取り締まることはできないというのが現実であった。

 そこで、公明党は今年2月「官製談合防止法案」を新規立法することを提案した。3月には自民党、保守党を加えた与党3党で「入札談合の防止に関するプロジェクトチーム」を発足させて議員立法による法案提出の準備を続けたが、残念ながら持ち越しとなった。

 与党3党は国会休会中も会合を開いて法案提出準備を進めてきた結果、ようやく9月下旬召集の臨時国会に法案を提出する段階までこぎつけた。

 法案では、公取委が発注者の官庁や自治体に排除措置を要求できるようにし、発注者は談合に関与した職員に損害賠償を請求し、懲戒処分の調査をすることになっている。

 ▼政官界に根強い抵抗勢力

 しかし、個人責任が問えるのは、国家公務員法が適用される範囲に限られ、特殊法人や第3セクターなどは除かれている。これについて朝日新聞は「公共事業を実際に取り仕切っている担当者を処分の対象から外すのでは、防止法の抑止効果はぐっと小さくなってしまうだろう。与党案の練り直しを求めたい」(9月5日付社説「実効ある防止法を作れ」)としているが、全く同感である。

 また日本経済新聞はこう書いている。「何より遺憾なのは、連立与党の一部に立法化を妨げるかのような動きがあることだ。同じ議論を蒸し返し、臨時国会提出の時間切れを狙っているのではないか、との憶測を呼んでいる。国民全体の利益か、支持母体の利益か、よく考えるべきだ」(8月17日付社説「官製談合防止法の制定を急げ」)

 まことにもっともな主張である。

 自民党が腰の引けた態度をとっている理由は、建設業界の意向もさることながら、中央官庁が同法案制定に消極的だからである。国土交通省などは「発注官庁が気をつければいい話だ」と冷ややかな態度だが、公正取引委員会という弱小組織に介入されるのは不愉快だというのが本音のようだ。

 この問題は官公庁職員の天下り先確保や官業癒着などとも密接に絡む根の深い問題である。メディアは途中経過なども含めてもっと積極的に報道すべきだろう。

(立命館大学教授)