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タイトル画:検証:構造改革報道

検証:構造改革報道 高橋文利

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小泉自民大勝でも、腰砕けの気配
補正予算の中身が試金石

(2001年8月14日付)


 参院選で自民党が大勝したにもかかわらず「構造改革」には暗雲がたれこめている。理由は、いうまでもなく景気の低迷である。ここで踏ん張らないと、構造改革が腰砕けになる心配が濃厚だが、各種の経済指標が悪化していることもあって、メディアのなかには公然と目先の景気対策を要求する動きが出てきている。

 ▼経済の低迷が政策選択の幅を狭める

 小泉首相が主張する「構造改革なくして景気回復なし」というスローガンは、参院選での勝利によって国民の信認を得たはずである。ところが、日本経済新聞7月31日付社説は「『改革と景気』両立させる総合戦略を」と、景気対策にも配慮を求めている。これはまあ、経済専門紙だから当然ともいえるが、読売新聞はもっと直接的だ。「経済危機の克服こそ急務だ」という見出しで「真っ先に取り組むべき緊急課題は景気対策である」と言い切っている。

 朝日新聞は「景気指標が悪化し、株価の低迷も続くなか、国の来年度の予算編成で構造改革を貫くことができるか」として、見出しも「改革の成否が試される」と控えめだが、読売は翌8月1日付社説でも「景気への目配りも欠かせない」と追い討ちをかけている。

 これは小泉改革とは正反対の「景気回復なくして構造改革なし」という主張である。事実、日経は「景気後退に歯止めがかからなければ、改革そのものが壁にぶつかる」と書いている。

 ▼過去の教訓に学び目先の景気にとらわれるな

 もともと景気と構造改革を両立させる方途は難しく、政策選択はナロー・パス(狭い道)を探る形になる。橋本内閣も「改革」を掲げたが、景気後退に見舞われて3年前の参院選で敗北、退陣に追い込まれた。

 常識的に考えれば、景気対策は目先のこと、構造改革は中長期的な目標ということになる。しかし、小渕・森内閣が景気対策を優先したにもかかわらず、結局景気は回復しなかった。そこで、日本経済の構造そのものを改革しないことには、いくら巨額の資金をつぎ込んでも景気は回復しないと悟り、小泉改革路線が出てきたわけである。

 こうしたいきさつを振り返れば、目先の景気対策を声高に要求するのは、過去の教訓に学んでいないといえる。

 だが、しかしである。株価は下落し、失業率は依然高水準だ。このままでは小泉内閣がもたないという結果になっては、構造改革も吹っ飛び、元も子もない。

 小泉首相は(1)臨時国会前の8月中(2)臨時国会(3)年末の来年度予算編成−−の3段階でそれぞれ処理する問題を示す「改革工程表」を近く提示する段取りだ。当面の焦点は景気刺激のための補正予算を編成するかどうか、するとしても中身をどうするかである。

 世界同時不況の懸念もあり、現状では補正予算の編成は必至だろう。しかし、その場合でも歴代政権が実施してきた公共事業中心の従来型とは似ても似つかないものにする必要がある。

 すなわち日銀の追加的な金融緩和に加えて、失業者対策(再雇用訓練など)中心の総額2〜3兆円規模の小型補正予算にとどめることができるかどうかである。その中身をどう評価するか、小泉首相同様、メディアにとっても補正予算が試金石になる。

(立命館大学教授)