![]()
(2004年12月14日付)
9日、クウェートの米軍基地を訪れたラムズフェルド国防長官は、兵士たちから装甲車の不備の理由を尋ねられるなど、思いがけぬ厳しい質問を浴びて言葉に窮した。
その模様は繰り返し全米のニュースで放映され、翌日の各紙は「自国の兵士までもが長官に挑戦」(USAトゥディ紙)、「私を責めるな」(ワシントン・ポスト紙社説)、「長官、装備をいただけませんか?」(ニューヨーク・タイムズ紙社説)など、イラク戦争における戦略上のミスは自分にないと逃げ腰の回答を続ける長官に皮肉をこめた見出しを送った。
ワシントン・ポスト紙の社説は、装甲車の不備を訴えた兵士に対して「君たちは持てる装備で戦うしかない」と答えた長官を、侵攻した側でありながら装備が欠如しているという事実、暴動の頻発を予測し得なかったことなどに対する責任が自身にはまったくないと考えているようだと非難、非が常に長官以外にあるならば、今後の決定に米国民はどれだけ信頼をおくことができるのかと疑問を投げかけた。
NYタイムズ紙の社説も、質問者の兵士の部隊が所有する300台の輸送車の95%が十分な装甲を施されていないことを指摘、小規模かつ軽装備の軍隊でイラク侵攻が成し遂げられるという長官自身の戦略の正当性を証明しようと躍起になった結果、装備不足が生じたと長官の責任を問うた。
ブッシュ政権が2期目に入り多くの国民が期待をかけたのは、支持者の目にすら明らかな1期目の負債のいくつかを同政権が2期目でいかに払拭してくれるかということにあったであろう。閣僚の任命は政権の姿勢を示す重要な要素である。
閣僚の任命がほぼ完了した現在、新閣僚の顔ぶれから窺える現ブッシュ政権の姿勢は、1期目におけるすべての決定が正しかったとあくまでも主張すること、その主張に反する閣僚を締め出すことによって反対意見には耳を塞ぐことだ。自らの間違いを認めず、他者に責任を転嫁するラムズフェルド国防長官の態度は、こうした現政権の姿勢そのものを象徴するものであった。
(椎名亜由子・在米ジャーナリスト)