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米国ジャーナリズム時評

【52】

1000人超えたイラク戦争の米軍死者

(2004年9月14日付)

 イラクのサドルシティーでの戦闘が一向に収まる気配を見せぬ中、9月7日、イラク戦争における米軍関係の死者は1000人を超え、また悲しい指標を人々の心に刻むこととなった。

 論説でこの件を即座に取り上げたのは、8日付のロサンゼルス・タイムズ紙。イラク戦争における米国のゴールが何なのかすら不鮮明になってきたことを指摘し、「兵士たちは何を達成することを目的に日々、生命の危機にさらされているのか、知る権利がある」と結んだ。

 10日付のニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたボブ・ハーバート記者のコラムはさらに辛らつな舌鋒で同じ質問を投げかけた。ブッシュ大統領がとり付かれていた、サダム・フセイン・イラク元大統領を消し去るという妄想が米国にとって惨禍であったと米国民が認めるまでに、あと何千人が死ななければならないのか? 何のために?

 しかし、イラク戦争による死者の数の増加に痛みを感じる一方で、米国民の大半が必ずしもイラク戦争不支持というわけではない。

 9月3〜5日にかけて行われたCNNとUSAトゥデイ紙による共同世論調査の結果によると、フセイン元大統領が9月11日のテロ攻撃に直接関与していたと考える人の割合は、関与していないと考える人たちの割合と拮抗しているものの、「イラクに兵を送ったことは間違いであったと思うか」という問いには、57%の人が「間違いではなかった」と回答している(「間違いであった」と回答した人は38%)。

 「どういったイラク政策を指導者に求めているのか、明確な意見の一致が米国民の間にはないように見受けられる」――世論調査結果の分析はそう締めくくっている。

 何のために米兵たちは死んでいかねばならないのか。イラクで米は何を到達することを目指しているのか。この問いに答えるのは政府の義務であると同時に、米国民の義務でもある。

 (椎名亜由子・在米ジャーナリスト)