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(2004年8月24日付)
「真実は、私は同性愛者のアメリカ人だということなのです」――自らの性的嗜好と不倫を告白し、知事職からの辞職を発表したマックグリービー・ニュージャージー州知事の発言は、瞬く間に全米を駆け巡った。家庭を裏切ったため辞職するという潔い説明だったが、「真実」は。
マックグリービー知事の周りには、就任以来、スキャンダルが数多く存在した。就任数カ月後には側近2人の職権乱用が明るみにでると共に、知事が任命した州警察長には犯罪歴やマフィアとのつながりがあることが判明し、最大の献金者は、不法な資金集めに対する捜査を妨害するために証人の口封じを図ったとして起訴された。
また、安全保障関連の最高職に任命された男性は、経験不足のうえに外国籍であったため、官庁に出入りするために必要な保安上の審査をパスできず、FBIの会合への参加資格すらなかったというお粗末ぶりでありながら、年俸11万ドル(およそ1200万円)の高給を約束されていた。誰もが首を傾げる人選だが、この男性は知事の不倫相手であったというのだから呆れるばかりだ。最近では不正献金の捜査の対象として知事自身の名前も挙がっており、同性愛者であることに注目を集めて辞職することで、問題点をそらすことを期待していたのではという意見がメディア上で出始めたのも当然だ。
今回に限らず、ニュージャージー州の知事は、汚職が原因で辞職に追い込まれるケースが他州に比べて格段に多い。これは偶然ではなく、ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、ジョージ・ウィル氏が「アメリカのシーザー(皇帝)」と呼ぶように、各要職の任命権を始めとした強大な権力を知事に集めることを可能とする、ニュージャージー州独自のシステムに起因する。
また、マックグリービー氏も知事就任以前に行っていたように、州内の市長が同時に州上院議員を務めるなど、2つの役職を兼ねることも州法によって可能とされている。汚職が発生する根源である。
辞職は知事個人の家庭生活とは関係がなく、公的職権を乱用して不適切な行為が行われたため当然であり、それには州のシステムの矛盾が大きく関係していることをこの機会に論じ、ニュージャージー州の不名誉な汚職の歴史に終止符を打つべきだ。
(椎名亜由子・在米ジャーナリスト)