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(2004年4月27日付)
14日、シャロン・イスラエル首相と会談したブッシュ大統領は、イスラエルがガザ地区から撤退、ヨルダン川西岸の入植地の大半を維持するという同首相の計画を容認する考えを示した。2日前のエジプトのムバラク大統領との会談の際には、イスラエル案を容認しないと明言していたのを翻しての大きな政策転換は米メディアにも衝撃を与えた。
「中東和平における公平な仲介人という米国の信頼を損なう手痛い一撃」(ニューヨーク・タイムズ紙15日付「社説」)、「この大胆な賭けを成功させるには確固とした外交手腕が必要となるが、ブッシュ政権は今までそうした手腕を発揮したことがない」(ワシントン・ポスト紙16日付「社説」)など主要紙では手厳しい非難が相次いだ。
多くのメディアが問題として指摘したのは、和平計画の下では2国間の交渉で取り決めがなされるはずであるのに、もう一方の当事者であるはずのパレスチナが排除され、仲介者であるはずの米国の元首が、イスラエルの一方的な計画を容認した点だ。
NYタイムズ紙で中東問題を担当するJ・ベネット記者は、西岸のイスラエル入植地やパレスチナ難民の帰還権といった双方が妥協点を模索し交渉カードとして利用してきた問題を「ブッシュ大統領は両者の手からもぎとってしまった」と表現している(15日付)。
同じくNYタイムズ紙のW・サファイア氏のように、パレスチナがテロリストによるイスラエル攻撃を容認し、和平へのロードマップを無にしてしまったために、シャロン首相はパレスチナ抜きで安全を確保する手段を提案したのだと理解を示す声はきわめて僅かだ(16日付)。
W・ポスト紙が引用した穏健派パレスチナ人アナリストの「今回のメッセージの意味するところは交渉で利益を達成できると思うなということだ」というコメントに代表されるアラブ世界の憤りはイラク復興までをもさらなる困難に陥れかねない。
ブッシュ政権が選挙を前に外交政策上の迷走を続けるなか、日本も中東における独自のビジョンを示し、米国との差異を明確にすることが急務なのではないか。
(椎名亜由子・在米ジャーナリスト)