【Seikyo Media Page】Copyright (C) 1997-2004 by The Seikyo Shimbun.



米国ジャーナリズム時評

【41】

同性婚を認定したサンフランシスコ市

(2004年3月9日付)

 2月24日、ブッシュ大統領は、結婚は男女間に限る憲法修正案を支持すると発表した。サンフランシスコ市が同性同士のカップルに結婚ライセンスを出して議論になっていることに対し自身の見解を示したものだが、大統領選挙に向け保守派層からの支持を固めるための戦略の一環だという批判の声も上がるなど、議論はさらに熱を帯びてきた。

 同性間の結婚の是非はここ10年ほど米国社会で折に触れて議論されてきた問題だが、難しい文化論を含む問題であるため政治家は積極的な議論を避けてきた。それがサンフランシスコ市の決定により問題が政治の表舞台に躍り出る形となり、選挙を控えたこの時期に避けて通れない問題となってしまった。

 憲法の修正はアメリカ建国以来、17回しか行われたことがない。2月25日付ワシントン・ポスト紙は共和党の指導者たちも憲法修正が可能だとは考えておらず、決定権を州政府から取り上げることになる憲法修正には消極的だと伝えている。

 修正案は同性間の結婚を禁じるだけでなく、過去数年間にわたって勝ち取られてきた同性カップルの権利をも奪い取るものだ、と反対を表明したニューヨーク・タイムズ紙をはじめとして、米メディアはおおむね修正案に批判的である。

 しかし、同25日付のウォールストリート・ジャーナル紙はオピニオン欄で同性カップルに結婚を認めることは特定市民に対する特別待遇であり、それによって社会が被るコストを考えないとならない、と修正案に賛成を表明するハーバード大学教授の寄稿を掲載した。

 メディア上では同性間での結婚支持派が主流だが世論では必ずしもそうともいえないところを見ると、社会がまだ受け入れ準備のできていない時期に権利を主張することで長期的には同性カップルの権利拡大が害される恐れも否定できない。米国の価値観に一石を投じる問題であるだけに議論の行く末が注目される。

 (椎名亜由子・在米ジャーナリスト)