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(2004年1月27日付)
下馬評覆すケリー氏1位、ディーン氏3位 |
最後まで予測がつかないことが起きるのが大統領選だというのを再度実感させたのが2004年の大統領選のスタートとなった今回のアイオワでの民主党党員集会だった。ディーン前バーモント州知事とゲッパート下院議員との間での争いになると言われていたものの、蓋を開けてみればケリー上院議員がトップ、エドワーズ上院議員が2位でそれに続き、この結果を受けて同州を地盤にしていたゲッパート氏は大統領選からの撤退を表明した。
優勢を保ち続けてきてアイオワを制すればそのまま独走かという憶測もでていたディーン氏がケリー氏の38%に対して18%と大きく水をあけられて3位に終わった原因としてはいくつかの理由が考えられる。
まず第一には民主党員が現在、候補者に求めているのはブッシュ大統領に勝てる人材、この一点につきるというところにある。当初から言われ続けてきたが、ディーン氏はブッシュ大統領に勝つには極度な左派である。反イラク戦争だけではブッシュ大統領に対抗できないという判断を下した党員が直前になって続出した。
もう一つには、ネガティブ・キャンペーンが裏目にでたらしいことが広告戦略家の分析によって挙げられている(1月23日付ニューヨーク・タイムズ紙ほか)。
12月初旬およびアイオワでの党員集会の前週にディーン氏とゲッパート氏は互いの政策を非難するCMを応酬しあったが、これが人々の嫌気を誘い、それぞれ1、2位を争っていた両氏を大きく引き離されての3、4位に凋落させたというものだ。
各候補はこのネガティブ・キャンペーンの負の結果を重く受け止めており、次回のニューハンプシャー州での予備選に向けた広告では各陣営とも互いの批判をぴたりとやめ、特定の政策について訴えると言うよりも自身のパーソナリティーをアピールする戦略に切り替えている。
ディーン氏は集会終了後の演説で、さらに味噌をつけた。今後、予備選が開かれる各州の名前を羅列し、アジるような口調で「ホワイトハウスを奪回するぞ!」とわめき散らしたのだが、そのヒステリックな様子は多くの人をたじろがせた。
これはニュース・メディアのみならず全米のトークショーなどでも散々、嘲笑の種とされ、ディーン氏はその後、メディア嫌いで今まで表にでてこなかった医師である夫人を伴ってABCテレビのインタビューに出演し、「ソフト」で「ジェントル(優しい)」なイメージをアピールすることに必死だ。
ディーン氏は今までにもいくつかの失言を取りざたされ、他候補からの攻撃を受けてきた。アイオワ集会の直前にも4年前に党員集会システムは特定利益団体に支配されていると発言していたことが発覚し、強い反発を受けた。
他の同氏の失言にも言えることだが、発言そのものはまったく根拠がないわけでもなく率直なのだが軽はずみの過ぎるところがあり、他候補からは格好の揚げ足取りの対象とされてきた。
24日付のワシントン・ポスト紙では、アイオワでの演説は同候補についてかねがね懸念されてきた「考える前に話す傾向」を、さらに明確にし、人々がディーン氏の気質の弱点を目の当たりにしたことから事が大きく扱われたのであって、わめきたてたことそのものが問題なのではないと分析している。
今回の件はディーン氏に対する人々のかねてからの懸念を顕在化させただけだというのだ。ディーン氏の率直さは人間的な魅力でもあると同時に、大統領の器としては疑問を呈される部分であろう。
しかし、このままディーン氏が失速するとみるには時期尚早である。92年のクリントン氏のアイオワ党員集会での得票率はたったの2・8%だったが、結局はホワイトハウス入りを実現した。
27日に行われるニューハンプシャー州での予備選ではケリー、ディーン、クラーク、エドワーズ各候補の四つ巴になるであろうというのがもっぱらの見方である。誰が党指名候補となるかは3月初めの予備選終盤になるまで明らかにならないのではないかとみられており、これからが民主党候補にとっては長い戦いとなる。
(在米ジャーナリスト)
略歴しいな・あゆこ 上智大学新聞学科修士課程、ミネソタ大学ジャーナリズム学科修士課程修了。研究テーマは国際コミュニケーション論と、主にインドネシア、東南アジアにおける言論の自由。現在はニューヨークに在住し、リサーチャーとして活動する傍ら、本紙に「米国ジャーナリズム時評」を連載寄稿中。