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米国ジャーナリズム時評

【30】

政治コンサルタントの内幕描くドラマ

(2003年9月30日付)

 ワシントンで働く人間が今一番会いたい人物は「ジョージ」だというもっぱらの噂だ。ジョージといってもジョージ・ブッシュ大統領のことではなく、俳優のジョージ・クルーニー氏のこと。

 先だってケーブル局で放送が開始された、政治コンサルタントの世界の内幕を描く半リアリティーTVドラマ「Kストリート」のプロデューサーをアカデミー賞を受賞したS・ソーダバーグ監督と共に務め、エンターテインメント業界のみならず政界でも話題を呼んでいる。

 実在の人物と俳優、実際の出来事とあらかじめ用意されたシナリオが融合され、完全なフィクションともドキュメンタリーともジャンル分けのしがたい番組だ。

 番組には、1992年のクリントン大統領選出の際に選挙参謀を務めた豪腕ロビイストやチェイニー副大統領の元顧問などが本人として登場する。シナリオもあるのだが、例えば第1回では民主党のハワード・ディーン大統領候補が数日後に控えたボルティモアでの討論会に備えて彼らのコンサルティングを実際に受けるシーンが出てくるなど、現実と虚構の世界が交錯する。

 番組の収録があることを伏せてディーン氏をコンサルティング・セッションに招待し、著名コンサルタントの願ってもいない申し出に惹かれたディーン氏が現実の政治家を必要としていた番組側の策略にまんまとはまったというのが番組登場の真相であるらしい。

 9月半ばにボルティモアで行われた討論会で会場を沸かせたディーン氏のウイットに富んだ発言は、出演コンサルタントの一人がこの番組内のセッションで提案したものだ。

 時宜を得た内容にするため、番組の撮影は放送日の1週間以内に行われると言う。大統領、最近では州知事候補も輩出し、ただでさえも決して厚くはないハリウッドとワシントンの壁。「Kストリート」を見ていると、政治における事実と虚構の壁がさらにぼやけてくる気がする。

 (椎名亜由子・在米ジャーナリスト)