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(2003年9月9日付)
8月の最終週、ヒラリー・クリントン上院議員の大統領選出馬説が突然再浮上し、ブッシュ大統領打倒に期待をかける民主党員は大いに盛り上がった。
ブッシュ大統領の支持率が低下し、民主党が強力な候補を立てれば大統領選での勝利もありうるのではないかという期待が高まったことに加えて、ヒラリー氏が政治戦略家と会合を持ったことが出馬を考慮しているのではないかという噂を煽ったらしい。
実際には会合は定例のものにすぎず、29日に本人が報道陣に向かって出馬を明確に否定したため騒動はひとまず収束したが、背景には噂を意図的に煽ろうとした民主党内の勢力の影も見え隠れする。
29日付のAP電は、2008年の大統領選に出馬を目指す民主党員にとってヒラリー氏は「森の大きな熊」のように行く手に立ちふさがる邪魔な存在であり、2004年に出馬してブッシュ大統領にこっぴどくやっつけられればしめたものと考える者もいるという民主党コンサルタントの意見を紹介している。
これで今回の大統領選挙へのヒラリー出馬の可能性は完全に消滅したようだが、民主党から10人目の大統領選候補が出る可能性はまだ残されている。9月19日までに最終決定を出すと出馬に前向きなのはコソボ紛争時にNATO(北大西洋条約機構)最高司令官として活躍したウェスリー・クラーク将軍である。
すでにネット上ではDraftWesleyClark.comトDraftClark2004.comという支援サイトが稼動しており、出馬が未定にもかかわらず資金や全米各地でボランティアを集め、出馬が決定し次第、すぐに選挙活動が始められるように備えている。
米国陸軍士官学校をトップ卒業するなど、秀才としても知られるクラーク将軍はイラク戦争には当初から反対を表明し、反ブッシュ体制派の一部から根強い支持を得ている。しかし一般への知名度の低さと遅すぎる出馬表明が向かい風となるだろうというのが大方の見方だ。それでもロサンゼルス・タイムズ紙(29日付)のように「クラーク将軍出馬の際には民主党内での争いの風向きが変わる可能性がある」とする意見もあり、その動向が注目される。
(椎名亜由子・在米ジャーナリスト)