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米国ジャーナリズム時評

【25】

大統領選の民主党“ダークホース”候補

(2003年7月8日付)

 米民主党からは9人が大統領選への立候補を表明しているが、近ごろ、意外なダークホースが注目を集め始め、他候補の焦燥感をあおっている。

 注目を集めているのはハワード・ディーン前バーモント州知事。イラク戦争への反対、同性愛主義者同士のパートナーシップの擁護、銃規制への反対など、民主党候補の中でもそのリベラルぶりが際立つ異色候補だ。

 7月2日に発表された第2四半期に集められた資金の総額は750万ドルと、民主党9候補の中で最高額だった。この時期の資金は、予備選半年前の支持基盤を示す指標とも言え、投票日まではまだ1年4カ月ほどあるものの、ディーン前知事の健闘ぶりをうかがわせる。またインターネット上でのキャンペーンで力を発揮するなど、氏のリベラルな信念が若者層から支持を受けている点も見逃せない。

 とはいうものの、同時期に共和党のブッシュ大統領が集めた資金は3420万ドルと、民主党の9候補全員の集金総額をも上回る。資金額のみが大統領選の行く先を決めるわけではないが、この事実は本命が確定していない民主党候補の混戦を物語る。

 先ごろ発表されたニューヨーク・タイムズ紙とCBSの合同世論調査の結果によると、民主党候補の名前を一人でも挙げられた回答者はほとんどいなかった。6月29日付のニューヨーク・タイムズ紙では、各候補が弱点と長所を併せ持つ形で突出した候補が不在である事実に触れ、民主党は各候補の長所をつぎはぎした「フランケンシュタイン候補」を創り出すことを夢想していると報じた。

 人気上昇中のディーン前知事にしても、6月23日に出演したNBCテレビの討論会で国家安全保障にかかわる重要問題にきちんと答弁できず、司会者から「あなたの国家安全保障にかかわる知識とポジションには懸念を持たざるを得ないし、自身もそれを認めるべきだ」と手厳しい非難を受けた。

 それに対する同氏の答えは、「認めますよ。レーガン、クリントン、ブッシュ大統領と同様に、国家安全保障に関する幅広い経験は持っていないですから」というものだった。なんとも笑えない回答である。

 (椎名亜由子・在米ジャーナリスト)