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米国ジャーナリズム時評

【21】

批判浴びた有名キャスターの広告番組出演

(2003年5月13日付)

 ニューヨーク・タイムズ紙は5月7日付ビジネス・セクションのトップ記事として、元CBSのニュース・キャスターであるウォルター・クロンカイト氏、現CNNのアーロン・ブラウン氏などがニュースを模したTV広告番組に出演していることをとりあげ、広告とニュースの境界線を曖昧にするようなジャーナリストの行為に対する倫理的な疑問を投げかけた。

 問題となったのはフロリダの番組制作会社が米の公共テレビ、PBSで放映するために制作していた2分から5分の短い番組で、ニュース番組風のセットに座ったキャスターが、医療関連企業やその製品に関係する医療情報を伝えるセグメントを紹介する。

 紹介される医療関連企業が番組スポンサーとなっており、実質的には広告だが、スポンサーがついていることは明示されない。しかも、情報自体が擬似ニュースやインタビューの形態をとっているうえ、信頼度が高いキャスターが出演していることから、視聴者がこれを広告と判断することは難しい。

 米国ではビジネス番組専門局などでニュースを模した広告が流されることはままあるが、ブラウン氏のような現役の大物キャスターが出演するのは極めて珍しい。

 デジタル化に伴いチャンネル数が急増する中、小規模のローカル局などはエアタイムを埋める安価な番組を探すのに必死である。そうした局にとって、著名キャスターの出演する番組が無料で使えるのはありがたいことにちがいなく、局の側のチェック体制の緩みもあったであろう。

 問題はなにもテレビだけに限らない。新聞各社のウェブサイトでも、健康に関するコンテンツ(内容)に関しては特に、ニュース記事なのか、それともスポンサーがついた宣伝なのか、判断のつきにくいものが多数見受けられる。

 出演依頼を受けるジャーナリストの側、番組の放送、コンテンツの掲示を判断するメディアの側、双方がその使命を常々問い直し、的確な判断をすることが今後一層求められる。

 (椎名亜由子・在米ジャーナリスト)