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(2003年3月11日付)
対イラク武力行使への国際社会の動きに影響を与えるものとして注目された7日の国連安保理での査察報告は、査察の進展とイラクの不完全な協力体制の双方を指摘するものとなり、「平和裡に解決できるものを、なぜ武力で押し進めようとするのか」(ドビルパン仏外相)とする独仏を中心とする陣営と、報告は「(イラク)非協力の目録」(パウエル米国務長官)とみる米英陣営との亀裂をさらに広げた。
特に前回の安保理会合で防御に終始したストロー英外相は、身振りでドミニク・ドビルパン仏外相の方を指しながら、「ドミニクは、我々の前には平和による武装解除と、戦争による武装解除という選択肢があるといったが、ドミニク、それは誤った選択だ」など、「わが友、ドミニク」に向けて挑戦的な発言を繰り返し、今回は積極的な応戦に転じた。
ストロー英外相は、武力解除への唯一の道は「確固とした武力の脅威を後ろ盾にした外交」であると述べ、演説終了後には独仏陣営支持派が増えつつある会場内からも拍手がわいた。
うまくいけば亀裂を埋めるかとも見られたイラク武装解除の期限を3月17日とする英国による決議案修正案も、独仏露によって即座に却下され、事態の悪化を感じさせた。
問題は、このような状態で米英スペインが対イラク武力行使容認決議案の採決を決行し、安保理9カ国以上の同意が得られないか、もしくは仏露の常任理事国のいずれかが拒否権を行使するかして採決が否決された場合だ。米国は独自の判断で武力行使に踏み切る可能性が高い。
そして、国連の場での決議に反した行為を加盟国が独自にとることで生じる反動は想像に難くない。それは国連の役割への深刻な挑戦でもある。米国という大国、欧州という大国、それぞれの思惑が国際協調の場で最終的に歩み寄りを見せるのか、国際社会は息を呑んで見守っている。
(椎名亜由子・在米ジャーナリスト)