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米国ジャーナリズム時評

【16】

反戦デモへの分析と反応

(2003年2月25日付)

 14日の国連安保理の外相級協議で、査察を継続、強化すべきであり、イラクに対する武力行使は時期尚早とする意見が相次いだのを皮切りに、15日には世界各地で大規模な反戦デモが行われるなど、ブッシュ政権の対イラク戦略に逆風が吹き始めた。

 今まで戦争をあおるかのような報道が目立った米ネットワーク各局も、ここに至ってようやく国内外の反戦の声や、その分析を取り上げだした。ニューヨークの街を20区画以上にわたって埋め尽くした10万人規模の反戦デモ参加者の映像が各局で繰り返し流される様子は、反戦派が逆転多数を占めたかのような錯覚すら起こさせた。

 17日付ニューヨーク・タイムズ紙も「市井の新パワー」と題した分析記事で対イラク武力行使反対意見の流れにいたる最近の動向を紹介し、こうした反戦の声を世界各国の指導者たちが無視することは難しいだろうと結んでいる。

 とはいうものの、米国内では対イラク攻撃容認派が依然多数を占めることに変わりはない。逆風の契機を作ったフランスとドイツに対する苛立ちもメディアの中には見え隠れする。

 大衆紙のニューヨーク・ポスト紙(10日付)は、1面に第2次世界大戦中にフランスで戦死した米兵の墓地の写真を掲げ、米兵がフランスをヒトラーから守るために戦ったのを覚えていないのかと、激しいフランス批判を展開した。

 ニューヨーク・タイムズ紙でも、著名コラムニストのトーマス・フリードマン氏がブッシュ政権の問題点を指摘しつつ、イラク初の原子炉の供給主はフランスであることを改めて指摘し、ドビルパン仏外相の国連でのスピーチに拍手喝さいしていたのはフセインであろうと辛らつな批判を展開した(19日付)。

 この米欧、および欧州内の意見の分裂をイラクは最大限に活用するに違いない。しかし、反戦の声はイラク支持とは一切関係がないということをイラクはもう一度肝に銘じる必要がある。

 (椎名亜由子・在米ジャーナリスト)