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(2002年11月26日付)
ワシントン・ポスト紙は、17日から3日間にわたって、同紙編集局次長、ボブ・ウッドワード記者の新著『ブッシュ・アット・ウォー(戦時下のブッシュ)』からの抜粋を掲載した。
同時多発テロ勃発からイラク攻撃に焦点が移った現在に至るまで、テロとの戦いに向けた意思決定がブッシュ政権内部でいかに進められてきたかが、政権内の確執、CIA(米中央情報局)の果たした役割を交えて鮮明に描かれる。
ウッドワード記者といえば社会部の若手記者時代に、同僚のバーンスタイン記者と共にウォーターゲート事件を追い、ニクソン大統領を辞任に追い込むきっかけを作った伝説の記者だ。調査報道というスタイルもこの時に確立された。インタビュー嫌いで有名なブッシュ大統領を始め、100人以上の関係者とのインタビューと、50以上の国家安全保障会議の際の内部メモなどを元にまとめられたという本作でも、相変わらずの緻密な情報収集ぶりに舌を巻かされる。
記者として7人の大統領を追ってきたウッドワード氏は、すでにワシントンの中枢部に多くのコネクションを持つインサイダー記者だ。大統領を失脚に追い込んだ記者は、いまや大統領のテキサスの別荘でくつろぎながらインタビューをとるようになった。
この立場の変化は権力に対する報道姿勢にまったく影響を及ぼさないものなのか――ウッドワード記者自身は本作について、「ブッシュ政権の成功と問題点の両方を、実際の出来事の描写を通じて、私見が入らないように描写することを心がけた」と語っているが、インタビューに応えた人物に対してやや好意的な流れになっているのではとの感も否めない。
しかし、すでに終結した戦いではなく、今現在進行中の戦争初期の意思決定がいかになされたかの内幕を人々の目の前にさらすような芸当は、やはりウッドワードほどの記者でないと無理であろう。その取材力に圧倒される一冊であることに間違いはない。
(椎名亜由子・在米ジャーナリスト)