【Seikyo Media Page】Copyright (C) 1997-2002 by The Seikyo Shimbun.



米国ジャーナリズム時評

【7】


イラク問題を巡る米独の確執

(2002年10月8日付)

 「ドイツの道」を標榜、対イラク攻撃反対で辛くも再選を勝ち取ったドイツのシュレーダー首相が選挙活動中に表明した米国批判は、米国メディア上で大きな物議をかもした。

 前法相がブッシュ大統領の戦略をヒトラーのそれになぞらえるなど、穏やかならぬ米国批判が票集めのために行われたとはいえ、ブッシュ政権の対応は首相選出に対する恒例の祝賀電話もせず、ドイツ側からの会見の申し込みを拒否するなど、感情的とすら見えた。

 ニューヨーク・タイムズ紙はブッシュ政権のこうした対応をまるで高校生のいじめのようだと評し、他国の選挙時の争点にまで干渉する権利があるかのようにふるまっていると批判的な論説を掲載した。

 しかし大半の新聞は、米国に侮蔑を持って臨むのであれば同盟国といえどもその結果を甘んじて受ける覚悟を(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)、ドイツは自分が戦時中に犯した過ちを思い出し、米国の貢献に今一度感謝すべき(ワシントン・ポスト紙)など、シュレーダー首相に辛らつな批判を寄せている。

 しかし、「友人間にも意見の相違はあってしかるべき」というシュレーダー首相の弁明にも理がある。問題は外交政策の相違というよりも、ドイツが他のEU諸国を無視して一国主義的に米国の対イラク攻撃批判を展開した点にある。

 クリスチャン・サイエンス・モニター紙はこの点を指摘し、EU諸国の信頼を損ねたシュレーダー政権は今後、ドイツが対イラク戦に参戦せずとも国際社会の安全保障に建設的な役割を果たしうることを同盟国に証明する必要があると分析した。その冷静な筆致が突きつけた要求は、そのまま国際社会が日本に対して突きつけている要求にも見えた。

(椎名亜由子・在米ジャーナリスト)