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(2002年8月27日付)
6月には連邦最高裁による「知的障害者の死刑は違憲」とする判決が、7月にはニューヨーク連邦地裁による「連邦政府の死刑制度は違憲である」との判決が下されるなど、米国では従来の死刑制度に一石を投じる判決が立て続けにだされ、メディアでも制度の是非をめぐる論議がさかんになっている。
背景にはDNA判定などによって死刑判決後に無罪を証明されるケースが増えているという実情がある。ニューヨーク連邦地裁判事はこれを踏まえて、あまりに多くの無実の人が死刑に処される危険があるとの判断を下した。
メディアでは軒並み、廃止を視野に入れた死刑制度そのものの見直しを求める論調が強いが、このまま流れにのって制度そのものが廃止されるかどうかという点になると疑問を呈する声も同様に強い。
理由のひとつには現政権の強硬姿勢がある。ブッシュ大統領は全米でも死刑執行の数が格段に多いテキサス州の知事を務めた経験があり、就任直後、連邦政府としては38年ぶりにオクラホマシティー連邦ビル爆破テロ実行犯のマクベイ死刑囚の刑を執行したアシュクロフト司法長官と共に死刑推進派として知られる。
また、死刑制度反対や支持の動きは米国では時代の風潮にそって今まで定期的に世論に登場しているが、制度そのものの屋台骨を揺るがすまでいたった例はない。
活発な議論が交わされる中で、ニューヨーク・タイムズ紙は6月30日付紙面の1面で日本の死刑制度を大きく取り上げ、死刑囚は死刑執行の時を事前に知らされないなど、その非人道性を報道した。
米国以外では先進国の中で唯一、死刑制度を持つ国として知られる日本。死刑制度の見直しが必要なのは米国だけでない。
(椎名亜由子・在米ジャーナリスト)