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(1999年12月11日付)
フランスでは新聞の大半が街角の売店で売られている。読んでいる新聞を見るとそ
の人の社会階層が分かるのが面白い。リベラルな高級紙『ル・モンド』(夕刊紙五十
万部)はホワイトカラーや自由業、『フィガロ』(朝刊紙十七万部)は保守の中産階
級以上、労働者階級は『パリジャン』(朝刊紙四十八万部)や『フランス・ソワー
ル』(夕刊紙十六万部)が多い。
『パリジャン』はフランスの大衆紙の典型だが、日本の大衆紙と似ているのはタブ
ロイドの判型だけ。官能小説や扇情的な写真の類は一切ない。誰にも読めるように使
用する語彙(ごい)を限定し、街の声をふんだんに取り入れているのだけが高級紙と
違う。
十一月二十七日付の同紙は法務省が発表した「一九九六年に判決の下った離婚の分
析報告」を一面トップで取り上げた。
見出しはそのままずばり「離婚。男達は補償金の払いにうんざり」。九六年に裁判
所が扱った離婚は十二万件。毎年十四万人の子供達が親の離婚を経験している。離婚
請求の四件に三件は妻の申し立てによる。離婚者の平均年齢は夫・四十歳、妻・三十
八歳。十四年間の結婚生活の末に、十三カ月の訴訟手続きを経て離婚に至っている。
離婚後の子供の扶養手当は一人平均、千二十五フラン(約二万円)。支払い者の九
四%は男性で女性は四%に過ぎない。
しかし、『パリジャン』紙に登場した関係者が問題にしているのは「元妻」に対し
て男性が負担している年金だ。
パリの下町11区に住むクリスチャンさん(63)は離婚した先妻に月二万フラン
(四十万円)の年金を支払っている。九四年に失業し再就職したものの脳梗塞で倒れ
たため、昨年退職した。しかし、老齢年金はすべて先妻への年金支払いで消える。失
業中の現在の妻(50)の老母宅に同居して、しのいでいる。
こうした元夫達は給料を差し押さえられ、支払い不能のために監獄に入れられるこ
ともある。本人が死亡しても、年金の支払い義務は子供達にまで付いて回る。
一九七五年に制定された法律が時代遅れになり、法改正の必要は女性大臣であるギ
グー法相も認めている。『パリジャン』紙はクリスチャンさんの具体例によって、現
代のフランス離婚問題が抱える一面を分かりやすく読者に伝えているのである。