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連載コラム
「欧州メディア時評」

欧州メディア時評

【19】



「ベルリンの壁」崩壊10年、東西ドイツ統合への仏の評価

(1999年11月13日付)



 一九八九年十一月九日の夜、冷戦の象徴だったベルリンの壁が崩壊した。東西ドイツ統合は隣国のフランスにとって極めて重大な歴史の転換点だった。それだけにフランス日刊紙は各紙とも一面トップで統合十周年を取り上げている。
 なかでも「ヨーロッパの中のドイツ」と題した『ル・モンド』紙(十日付)の社説は興味深い。フランスの立場がずばり要約されているからだ。
 「ドイツは正常な国になった。統合にもかかわらず、突出した最強国として覇権(はけん)を目指すのではなく、隣国から承認された国境を守り、欧州のどの国と比較しても恥じることのない見事な民主主義を打ち立てた」と絶賛。さらに、ドイツ首脳が国民のマルクヘの執着にもかかわらずユーロ導入に踏み切り、欧州統合の骨格を固めるために決定的な貢献をしたことを高く評価している。
 かつてドイツ統合はフランスにとって悪夢そのものだった。第二次世界大戦までフランス外交の基本は強大な隣国ドイツの封じ込めにあったことは誰にも否定できない。しかし、普仏戦争以来の恩讐(おんしゅう)を越えて、独仏首脳が着実に積み上げた半世紀を越える協調の歴史は最早揺るぐことはない。
 フランスはドイツを外交・防衛上、最も重要でしかも信頼のおけるパートナーとして選んだのである。辛口の『ル・モンド』の社説は最後に「旧西独が旧東独に西側の論理を押しつけたことは否定できない」と統合の問題点も明確に指摘している。「世界のどこにも見習うべきモデルは見当たらない」だけに、今後のドイツの行方からは誰も目が離せない。

(三光洋〈さんこう・ひろし〉在仏ジャーナリスト)