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連載コラム
「欧州メディア時評」

欧州メディア時評

【15】



「荒れる学校」改革現場をル・モンド紙がリポート

(1999年9月11日付)



 長かったフランスのバカンスもようやく終わった。日焼けした子供連れが戻ってきて、 六日に学校が始まった。フランスでも他の欧米諸国同様、新学年がスタートしたことにな る。

 昨年の九月、仏教育界は荒れに荒れた。クロード・アレーグル文部大臣(63)の辞任を求 める大規模な教員のストライキが行われ、授業開始は大幅に遅れた。

 アレーグル文相は仏を代表する地球・宇宙科学の研究者。パリ大学の学部長としても長 年活躍している。行政手腕を買われてジョスパン首相の肝いりで入閣。校内暴力や落ちこ ぼれ、生徒の学力低下、と難題が山積みの中等教育改革に乗り出した。しかし、改革内容 への反発よりも、「荒れる学校の張本人は怠慢な教師」といった、歯に衣着せぬ直言が現 場の怒りを買った。

 今年度はアレーグル文相の学校改革初年度となる。改革は意欲的で広範にわたっている 。「ホームルーム」時間と「公民教育、司法・社会問題教育」の新設。チューター制度が 導入されるとともに、成績不良者のための少人数グループでの補習授業も実施される。

 九月五日、六日付の『ル・モンド』紙は、ロワール地方の中都市トゥールの高校とパリ 近郊のヴェリズイの中学を取材。現場の教員の声をリポートしている。

 教師達は今年から生徒より二日早く準備に集まった。改革実施のための打ち合わせが真 剣に行われ、組合レベルでも反対の動きは無い。しかし、教員達は記者に対し一様に不安 を打ち明けている。

 改革によって勤務時間は延びるが、それに対する予算措置は一切無い。新科目に至って は内容さえいまだに明らかにされていない。「目茶苦茶じゃないか」という一教員のコメ ントは、一見平穏な現場から発せられた悲鳴のように読み取れた。フランスの公教育問題 の根は深く、改革は前途多難のようだ。

(三光洋〈さんこう・ひろし〉在仏ジャーナリスト)