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(1999年8月14日付)
フランス薬品局の専門医師団が政府の要請で進めてきた保険薬の効能についての第一次 答申内容を『ル・モンド』紙が公開した(八月七日付)。
同紙によれば、国の健康保険で払い戻しされる指定薬の三分の一にあたる千百の薬品の 効能が調査された。驚いたことに、その約四分の一は症状に対し無効。更に効果なしとさ れた薬の多くが、医師によって最も頻繁(ひんぱん)に処方されていることも明らかにな った。
この調査は、社会保険の赤字解消に取り組んでいるオーブリ雇用・連帯相の指示による 。オーブリ氏は効能に疑問のある薬品を保険薬から外すことで社会保険費の支出を抑えよ うと考えた。
しかし同調査は、氏の意図を超えて、保険指定薬認定のプロセスの曖昧(あいまい)さ や医師による不適切な処方による薬漬けの実態を改めて明らかにした。
『ル・モンド』紙の社説は、「なぜ政府はこれほど長い間、腐敗した薬品市場と薬価を 放置してきたのだろうか」と問うている。
ミッテラン大統領時代の八〇年代、フランスの製薬会社と公権力の関係は灰色だった。 血友病患者への血液製剤の投与によるエイズ感染問題でも暴露されたように、小規模の製 薬会社を保護する政策が進められていたことは否定できない。
そうしたコンテクスト(脈絡)で医師の処方しやすい保険薬が不透明な経路で認可され 、フランスは世界でも有数の薬消費国にのし上がった。しかし、同紙の論評は政府批判に 止まっていない。社説は今回の調査は、「欧州薬品局が設置され、EU内での統一基準が 設定されたお陰だ」と指摘している。今回のトップニュースは、高官汚職で失点を喫した EUへの欧州統合推進派の『ル・モンド』からの援護射撃でもあったのである。
(三光洋〈さんこう・ひろし〉在仏ジャーナリスト)