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連載コラム
「欧州メディア時評」

欧州メディア時評

【12】



フランス革命記念日に想う国旗国歌のこと

(1999年7月10日付)



 今年も七月十四日が近づいてきた。一七八九年にバスチーユ監獄が陥落した日で、革命記念日としてフランス国民の祝日となっている。シャンゼリゼ大通りで繰り広げられる陸軍・空軍が参加する大パレードは日本でもよく知られている。

 しかし、フランスの七月はバカンス。パリ市民は南仏やイタリアといった避暑地に出かけていて留守。フランス共和国の誕生を祝う祝祭の雰囲気からは程遠い。十三年のフランス滞在で最も市民の祭りの息吹が感じられたのは、革命二百年で訪れたアルザスの小村で過ごした晩だった。

 人口わずか百人足らずの村。どの家も窓に三色旗を飾り付けている。村のはずれから楽隊の音が聞こえてきた。消防団が年に一度ホースの代わりに管楽器を手にして村中を練り歩く。楽隊の後からは子供たちがついてきて、村役場前の広場に集まってくる。村長のあいさつに続き、全員がラ・マルセイエーズを合唱。後はビールの大ジョッキを片手に夜が更けるまで賑(にぎ)やかな宴が続いた。

 フランス国旗の三色旗は一七九〇年にルイ十六世臨席の下、僧侶・貴族・平民の三階級が手を取り合って自由で平等な共和国の建設を誓った「諸国民の祭典」で生まれた。しかし、周辺諸国はフランス革命に驚いて国境を脅かした。自由の灯を守るために従来の傭兵に代わって、市民が銃を手に立ち上がり義勇兵となった。その中から生まれたのが「マルセイエーズ」である。

 十三年ぶりに帰国した日本では「君が代」「日の丸」法制化が話題になっている。国歌国旗が歴史の自然な流れから生まれ、今なお日々の生活で絶えず国民一人一人が目指すべき理念として定着しているフランスがうらやましく感じられる。

(三光洋〈さんこう・ひろし〉在仏ジャーナリスト)