

(1999年6月26日付)
高い棄権(きけん)率に話題が集中した感のある欧州議会選挙は、投票前の世論調査報道規制を見直す論争の好機となった。欧州では、有権者の自由な選択を保証するため、ポルトガルやドイツで投票日の一週間前、イタリアで二週間前、ルクセンブルクでは一カ月前から、選挙結果を予想する世論調査の公表が禁止されている。
フランスでも一九七七年の法律で、投票一週間前以降の「選挙に直接・間接的に関係のある、あらゆる世論調査の公表、伝播(でんぱ)、解説」を禁じている。しかし、二年前の総選挙の際、投票日の前日に世論調査を公表した五紙を、昨年パリ軽罪裁判所が無罪とした例は、この法律の形骸化を証明した。
インターネットで簡単に外国メディアの調査結果が得られる今日、世論調査の報道規制は「もはや投票の自由と公正を保証するに必要な措置ではない」ばかりか、通信手段の有無によって市民の間に不平等をもたらしかねない、との判断である。
法律が現実に適用されない異常な事態の解決は、法案や政令について法律上の見地から検討し、最高行政裁判所の機能を果たす国務院に委ねられた。その結果、報道規制の措置は、表現の自由の権利も、民主社会において他人の権利を保護するための制限の下にあると想定した欧州条約第十条に反しない、と七七年法の有効性が確認された。
投票日直前の調査結果が有権者に及ぼし得る影響力、さらに誤報の修正が間に合わない危険性が、通信手段の発達と普及による規制の効力の低下よりも重視されたのだ。
にもかかわらず、調査機関や専門家、政治家などの当事者の間では、「科学技術の進歩に立ち遅れた法」を無視する空気は薄れない。法と現実のギャップの中で、有権者の一票はますます重い。
(三崎ロイヨ由美子・在仏ジャーナリスト)