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連載コラム
「週刊誌エンマ帳」

週刊誌エンマ帳

【8】


取材力で読ませるルポルタージュ『Yomiuri Weekly』

(2002年4月23日付)

 『SPA!』と『AERA』にとくに目立つのだが、週刊誌の「○○な人が増えている」式の記事には、どうにも眉唾なものが多い。たとえば、「部屋を掃除しない若い女性が増えている」などというたぐいである。

 そうした記事をよくよく読んでみれば、「○○な人が増えている」という論拠は“記者の周囲にたまたまそういう人が何人かいたというだけ”であったりする。

 『Yomiuri Weekly』で連載中の「五感は警告する」も、一見その手の記事に見える。第1回(4月21日号)が“ボデーピアスなどで痛みや刺激を求める若者が増えている”という内容で、第2回(4月28日号)は“我が子をうまく抱けない母親が増えている”というもの。

 だが、このシリーズは「増えている」と言い切るための検証作業が綿密で、“周囲の2、3人にコメントをもらって一丁上がり”の安易な記事とはレベルが違う。立派なルポルタージュになっているのだ。

 たとえば第2回では、わずか本文3ページの記事のために、記事中に出てくるだけでも7カ所9人(研究者・ベテラン助産婦・企業・母親たちなど)に取材している。しかも論証に用いられるデータも豊富で、叙述も冷静である。

 筆者はノンフィクション作家の山下柚実氏。力のある書き手だと思う。現代人の五感に起こっている「異変」をさまざまな角度から追うこの連載に注目したい。

(前原政之・ジャーナリスト)