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連載コラム
「週刊誌エンマ帳」

週刊誌エンマ帳

【6】


売らんがため遺族感情まで食い物にする『週刊新潮』

(2002年3月26日付)

 『週刊新潮』3月28日号の《「光市母子殺人」控訴棄却で死刑を免れた「少年」の鬼畜を改めて問う》は、99年に山口県光市で起きた母子殺人事件の控訴審判決を報じたものである。記事中には、事件当時少年であった被告の実名と顔写真が掲載されている。

 周知のとおり、少年法61条は、少年のときに犯した罪で公訴を提起された者の氏名や顔写真を、出版物に掲載してはならないと定めている。『週刊新潮』は、確信犯的にこの条項を破ったのである。

 97年の神戸少年殺人事件に際し、逮捕された少年の顔写真を掲載して物議を醸したのも、同じ新潮社から発行されていた“兄弟誌”『FOCUS』であった。記事の末尾には、「遺族の心情が無念極まるものであることも考慮し、実名報道すべきであると判断し」たとある。

 要は、“裁判所が手ぬるい無期懲役の判決を下したから、かわりに我々が実名報道で社会的に抹殺してやろう”というメディア・リンチの論理である。いかに残忍な犯行であれ、メディアには制裁を与える権利などありはしない。

 そもそも、雑誌を売らんがために実名報道をしただけだろうに、「遺族の心情」を大義名分にしようなどとは笑止である。記事中には、酸鼻を極める事件の模様が、度を越して克明に再現されている。

 こうした書き方こそ、「遺族の心情」を踏みにじるものであろう。

(前原政之・ジャーナリスト)