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(2002年2月26日付)
今年1月に大分県別府市で起きた殺人事件で、中国人4人と韓国人1人の元留学生が逮捕された。被害者は多くの中国人留学生の親代わりとなってきた篤志家で、犯人の1人は留学に際して被害者が身元保証人になったという。『週刊新潮』2月21日号の「恩人惨殺でわかった中国人留学生の恐るべき実態」は、この事件を報じたものだ。
許しがたい事件ではある。だが、犯人は「中国人留学生だから」殺人を犯したわけではあるまい。『週刊新潮』の記事は、外国人差別を助長する危険なものだ。「中国人留学生は約7万人にのぼる。犯罪予備軍はゴロゴロいる」(末尾の一行)記事全体が、こうした偏見に貫かれている。
『週刊新潮』の描く留学生像は、W・リップマンがメディア研究の古典『世論』でいう「ステレオタイプ」(集団とその成員に対する、過度に単純化・固定化されたイメージ)そのものである。
人の心はとかくステレオタイプを受け入れやすいから、中国人留学生が全員犯罪予備軍であるかのようなイメージを、読者に植えつけかねない。
この記事は、国連の人種差別撤廃条約に違反すると考えられる。日本も批准している同条約は、第4条b項で、人種差別思想のあらゆる流布(メディアによる流布も当然含む)と扇動を、「法律で処罰すべき犯罪である」としているからだ。
『週刊新潮』の記事は、国際社会の基準に照らせば、まさしく犯罪なのである。
(前原政之・ジャーナリスト)