

(1997年11月22日付)
【回数】45
【タイトル/キーワード】省庁
【紹介ホームページ】FDA
【URL】http://www.fda.gov/
【本文】
睡眠薬として評価の高かったサリドマイド。これが胎児に強い副作用被害をもたらすという事実が発表されたのは一九六一年十一月。いわゆるレンツ報告である。これが一週間後にスクープされてヨーロッパ中が大騒ぎになった。
翌月、日本の販売元はあわてて厚生省と相談する。そこで決まったのは何と販売続行。「社会不安を起こすから」との政治的判断である。結局何もしないまま様子を見たために被害はそこからも続くことになる。
これに対してアメリカでは被害者がほとんど出なかった。なぜかというと、そもそもサリドマイド剤が認可されなかったのだ。FDA(食品医薬品局)の担当官がデータに疑問を感じ、認可を延ばし続けていた。そこにレンツ報告があり、製薬会社は申請を取り下げざるをえなかったのである。
さて、この差はどこから来るのか。日本の省庁が丸抱え的な規制による業界育成型なのに対して、アメリカの省庁は自由競争を前提した上での業界監督型だというのが代表的な答である。育成型では強い指導はしにくい。
先週、情報公開法改正に沿ってFDAが文書公開を始めたとのニュースがあった。「FDA」(http://www.fda.gov/)をのぞくと、たしかに公式の警告文などがそのまま公開されている。これでは企業は信頼を失い株価にも影響がでるだろう。
日本では、期待された省庁改編が、居直った族議員の巻き返しでドタバタ劇になっている。省庁改編の初心はどこへ行ってしまったのかと思う。
(野村一夫・法政大学兼任講師)