

(1997年10月18日付)
【回数】40
【タイトル/キーワード】臓器移植
【紹介ホームページ】Transplant Communication--臓器移植の情報サイト
【URL】http://www.medi-net.or.jp/tcnet/
【本文】
日本もいよいよ本格的な臓器移植時代に入る。いろいろ変転した臓器移植法だったが、私たちの許した選択肢がよかったのかどうか。じっさいの運用がどういうぐあいにおこなわれるのか。これから正念場が始まる。
インターネット上でも、臓器移植の現状に対してさまざまな主張がなされてきた。人権上の問題を指摘したホームページもあるし、脳死の判定について疑問を唱えるホームページもある。すでに移植を受けた人たちの体験談もあるし、移植による「救う会」の呼びかけもおこなわれている。
「Transplant Communication--臓器移植の情報サイト」(http://www.medi-net.or.jp/tcnet/)は、いわば移植推進派の文書を公開したホームページ。丹念にリンクをたどっていくと、移植医療の関係者の主張や、移植を求める人たちのグループの意見が読める。概して前者の人たちは真摯であり、後者の人たちは深刻だ。
けれども、あとひとつ重要な立場の人たちの意見がないのに気づく。これからドナー(臓器提供者)になることが俄然多くなる「脳死の人」の意見である。この「もの言わぬ人たち」の考えは、しかし、訊きようがない。不意の交通事故によって自分がそうなったときを想像するしかないのである。おそらくそこに問題の核心があるのだろう。言ってみれば、人びとの想像力が試されているのだ。
移植医療関係者の真摯さが裏目に出ないよう祈るばかりだ。
(野村一夫・法政大学兼任講師)