

(1997年4月12日付)
【回数】15
【タイトル/キーワード】馬
【紹介ホームページ】Lucky Farm
【URL】http://www.inv.co.jp/~yokochi/
【本文】
春の競馬シーズン直前の4月3日、一頭の牝馬がドバイで死んだ。世界最高峰のレース「ドバイ・ワールドカップ」に日本から出走したホクトベガが最終コーナーで転倒して骨折、予後不良ということで安楽死の処置がとられたのである。
ホクトベガにとってこれが引退レースだった。たとえ結果がビリであっても立派な凱旋となったはずだっただけにファンのショックは大きい。競馬のホームページ「Lucky Farm」(http://www.inv.co.jp/~yokochi/)の「ホクトベガ」のコーナーでも、この馬をねぎらうメッセージが次々に寄せられている。
ホクトベガは名実ともに「さすらいの競走馬」だった。芝から障害レースへ転向する寸前でダート(砂)に転向、その才能を開花。折しもダート中心の地方競馬との交流が本格化し始めた時期に中心的な役割を果たし、やはりダートなるがゆえに国際競争でドバイにまで出走するという快挙を一気に実現した。「砂の女王」と呼ばれるゆえんである。
従来別の道を歩んでなかなか歩み寄ることのなかった「芝とダート」「中央競馬と地方競馬」「日本競馬と世界競馬」を、まさに走ることによって見事につないだ馬だった。異なる世界をつながなければならない時代にあって、この馬の果たした役割は大きい。そしてその壮絶な死によって私たちは「つなぐ」ということが命がけの仕事であったことをようやく知るのである。
(野村一夫・法政大学兼任講師)