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新アジアの潮流

連載コラム
「新アジアの潮流」
石丸次郎・アジアプレス大阪オフィス代表

【22】

韓国盧政権揺さぶるイラク派兵と北の核


(2003年12月2日付)

 就任から1年も経たないというのに、韓国の盧武鉉政権がよろよろしている。国会では、もともと少数与党だった民主党が分裂して、盧大統領に近い議員らが「国民参与統合新党」を結成、金大中前大統領に近い民主党は「裏切られた」と、野党宣言を出すにいたり、大統領府が決めた重要人事案が、次々に国会で覆される事態が起こっている。

 ことは政界内のごたごたにとどまっていない。メディアの世論調査での支持率は軒並み10〜20%台。就任からこれほど短期間に支持を失った大統領は初めてである。側近の不正や経済の不振もあるが、盧政権を大きく揺さぶっているのは二つの対外問題だ。

 一つは対北朝鮮、とりわけ核開発問題である。盧政権は金大中前政権の対北融和策――「抱擁政策」を継承することを鮮明にして政権を発足させた。ところが北朝鮮は、盧政権発足とほぼ時を同じくして核開発による国際社会挑発をエスカレートしはじめた。おまけに金前政権が不正に北朝鮮に送金していた事実が明らかになり、「南の金で北は武力強化している」と、対北融和策に対する評価は厳しくなった。

 もう一つは、米国によるイラク攻撃に同調して派兵を決めたことに対する反発だ。盧武鉉氏は「革新」の旗色を鮮明にしていただけに、イラク派兵を決めたことは革新的支持層から「大義なき戦争への加担」「対米追従」という猛烈な批判を浴びている。

 イラク派兵で韓米同盟堅持を鮮明にする一方で、北朝鮮の核問題に対しては、「開発放棄を説得する」以上の対応を取らず、融和協調政策を変更しない。しこうして、反米親北傾向の強い元来の支持勢力からも、親米反北傾向の保守派からも、そっぽを向かれ始めたわけだ。

 今後、北の核問題が膠着し、またイラクの治安悪化が続けば、さらに韓国世論の両極化が進み、盧政権は両サイドの陥穽に落ち込んで、一層立場が苦しくなる可能性が高い。ひょっとすると、来年に「盧政権崩壊」という事態が訪れるかもしれない。

 (石丸次郎・アジアプレス大阪オフィス代表)