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新アジアの潮流

連載コラム
「新アジアの潮流」
石丸次郎・アジアプレス大阪オフィス代表

【14】

北朝鮮は墓穴を掘り続けるのか


(2003年7月15日付)

 北朝鮮が使用済み核燃料の再処理開始、という米NBCテレビの報道(おそらく米当局者によるリーク)によって、国際社会の北朝鮮に対する懸念はまた一段と強くなった。それは今後、北朝鮮に対する圧力が増していくことを推測させるが、雰囲気は米英軍によるイラク攻撃の時とはずいぶん違う。

 大量破壊兵器疑惑に対してフセイン政権は潔白を証明しようと査察を受け入れた。そのことによって、少なからぬ国際世論はイラク攻撃に正当性を認めず、独・仏・中・ロが公然と米英に反対した。

 ところが、北朝鮮は核兵器開発はしないという過去の米朝合意、南北非核化宣言、日朝平壌宣言に背くことを承知で核兵器保有を示唆した。はったり半分のカードで米国から譲歩を引き出そうとしたわけだ。

 だが、この交渉カードは、中ロという北朝鮮の友好国の立場を困難にしてしまった。さらに今回、核燃料の再処理という「レッドゾーン」に踏み込んだことで、中国もロシアも北朝鮮に圧力をかけないわけにはいかなくなった。

 米国が狙うのは、周辺国が絶対に賛成しない武力攻撃という方法よりも、中ロを含めた関係国にも責任と役割を担わせる国際包囲網の構築だ。皮肉にもこの包囲網を作るための材料を、金正日政権自身が提供し続けている。

 今後、経済制裁の一歩手前の状況まで短期間に進む可能性が高い。今年末ごろに北朝鮮情勢はかなり緊迫するかもしれない。