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新アジアの潮流

連載コラム
「新アジアの潮流」
石丸次郎・アジアプレス大阪オフィス代表

【13】

拉致問題の国際化の鍵は「人権」


(2003年7月1日付)

 拉致被害者家族と支援者が、韓国の拉致被害者家族の招請で先週、韓国を訪れた。

 韓国には朝鮮戦争時に北に連れて行かれた人が万単位でいると推測されるほか、拿捕された漁船員を中心に北朝鮮に留め置かれたままの人が約500人いる。ソウルで日韓の拉致被害者が連帯をアピールしたことの意味は小さくない。それは、「拉致問題の国際化」という戦略が、問題解決のために不可欠だからだ。

 1970年代後半から80年代前半にかけて集中した日本人拉致事件は、南北朝鮮が熾烈な対立を続けていた時代に、北朝鮮が韓国に浸透するため日本人になりすましたり、工作員が日本人の習慣や言葉を習う教育係として誘拐していったものだった。

 その目的は、あくまで韓国を赤化して北朝鮮に併呑・統一するためであり、かつて日本に植民地支配されたことへの復讐や怨念からではない。であるから、拉致問題の解決を世界に訴える時、国民感情や被害者意識だけでは共感を得ることは難しい。

 金日成―正日親子政権の常軌を逸した「テロ行為」「人権侵害」だと訴えることで、「日朝間の問題」にとどまらず国際社会の理解と共感を呼べるのだ。

 それは、韓国の拉致被害者、北朝鮮難民、元在日の北朝鮮帰国者、そして飢餓と抑圧に喘ぐ北朝鮮に暮らす人々に対して、日本社会がどれだけ関心と同情を注げるかが問われることでもある。