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アジアの潮流

連載コラム
「アジアの潮流」

【23=完】


アジアと日本――互いに触発し啓発しあう関係へ

(2001年12月18日付)

 先日、ASEAN各国出身で日本語を学ぶ若者らによるスピーチコンテストに触れる機会があった。自国と日本との橋渡しにかける思いや、日本の社会に対する洞察など、その日本語もさることながら、内容のレベルの高さが印象的だった。

 なかでも、インドネシアからやってきた女性のスピーチには思わず考えさせられた。

 その要旨は、インドネシアの若者の間でも、テレビゲームや携帯電話が行き渡り、若者文化の一部となっている。それら外来文化に共通するのは(操作するときの)「押す」という行為である。若者が「押す」行為に熱を上げているうちに、いつの間にやら、社会のいざこざが増えてきた、という指摘だった。

 そこで、この女性はインドネシアに古くから伝わる価値に思いを致す。すなわち、同国には「押す」の対極にある「受け入れる」を意味する複数の言葉があるという。「押す」ことに慣れた若者が、自分を押し出すことばかりではなく、他者を受け入れる文化を蘇らせることができれば、インドネシア社会がより一層、住みやすくなるという提言だった。いま、アジアは日本のポップ音楽やファッションが流行し、ちょっとした日本ブームだ。その受容の仕方に、アジアの若者から疑問符が投げかけられていることは健全な反応といえる。互いに異なる文化を見据えながら、共通の価値観を形作っていく。アジアと日本は互いに触発し、啓発しあう関係に動き始めている。

(西田実仁・ジャーナリスト)