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(2002年12月3日付)
ここ数カ月、韓国で反米感情が高まり、在韓米軍への抗議デモが続いている。韓国民の怒りを買っているのは、半年前、京畿道で起きた米軍装甲車による女子中学生2人の死亡事件である。
米軍側は過失を認めたものの、事故の裁判権を韓国側に委譲することを拒否。事件は米軍事法廷で裁かれ、11月下旬には起訴された米兵2人に無罪評決が出てしまった。この結末に対して韓国側は猛反発し、学生らが米軍基地に火炎瓶を投げ込むなど、抗議行動は激化している。
問題の背景にあるのは、35年前に締結された韓米地位協定(SOFA)である。この協定では、米兵の犯罪が起きた場合、米軍は韓国側で裁判が行われることを拒否する権利を認められている。今回も韓国側は米軍に裁判権の放棄を強く要請したにもかかわらず、結局、裁判権は委譲されなかった。
韓国には3万数千人の米軍が駐留しており、米兵による犯罪は日常化している。その数は年間数百件にのぼるという。傷害事件や麻薬がらみの犯罪はむろんのこと、殺人や強姦事件なども発生している。
この中で売春関係の犯罪に関しては、韓国側に第一次裁判権の行使を認める動きはあるものの、米兵が韓国の法廷で裁かれる率はわずか数%と推定される。米兵犯罪の裁判権をめぐり、韓国の与野党が不平等な地位協定の改定を求めるのも当然といえよう。
今回の事件では、11月27日、ブッシュ大統領が「韓国民と政府、少女2人の遺族に謝罪する」との声明文を発表し、米軍も事態の沈静化に乗り出した。現地の有力紙は「米国大統領が在韓米軍関連の事故で初めて謝罪した」と評価する一方、韓国政府に対しては、この問題に取り組む姿勢の甘さを手厳しく批判している。
常に南北分断の緊張にさらされている韓国では、駐留米軍の存在感は日本よりもはるかに大きい。米軍を批判することも長らくタブーであった。朝鮮半島の平和構築が実現するまで、在韓米軍をめぐる韓国民のジレンマは続く。
(野中章弘・アジアプレス代表)