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アジアの潮流

連載コラム
「アジアの潮流」

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タリバーン政権崩壊1年とビンラディン

(2002年11月19日付)

 ビンラディン氏はやはり生きていた。先週、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラが放送したテープを専門家が分析したところ、ビンラディン氏の肉声にほぼ間違いないという結果がでた。このテープは12日の夜、アルジャジーラのイスラマバード支局に持ち込まれたもの。テープの中でビンラディン氏はバリ島の爆破事件やモスクワの人質事件にも触れており、これら一連のテロ行為がアルカイーダと関係の強いイスラム過激派によって引き起こされたものであることを示唆している。

 音声テープは「米国の同盟国の国民へ」という呼びかけで始まり、イラク攻撃を準備している米ブッシュ大統領やパレスチナを抑圧するイスラエルと距離を置かねば、同盟国の国民もテロの対象となると警告している。「暗殺には暗殺、爆撃には爆撃」というわけだ。これはビンラディン氏による新たなテロ予告と受け取れる。米国のみならず、アフガニスタンに兵力を派遣した英、仏、伊、加、独、豪州なども名指しで非難され、米国に同調する国々に「安全と安定と安寧」はないと脅す。

 情報を総合すればビンラディン氏はアフガニスタン南部に潜んでいる可能性が高い。現地ではタリバーンの残存兵士たちも再結集し始めているという。タリバーン政権は倒れても、イスラム原理主義勢力が消滅したわけではない。国連やカルザイ政権にこのような状況をコントロールする力がない以上、アフガニスタンの混乱は収まりそうにない。

 折しも隣のパキスタンの総選挙では、ビンラディン氏を支持するイスラム勢力が大幅に影響力を伸ばしている。タリバーン政権崩壊から1年――。米国は「対テロ戦争」の実効性を訴えてはいるものの、テロはむしろ拡散する傾向を見せ始めた。ビンラディン氏の声明は無差別テロの時代を予感させ、ますます不気味である。

(野中章弘・アジアプレス代表)